-本日は、NTTデータの品川さん、土橋さんに現在取り組まれている住所データの構造化サービスについて、お話をお聞きいたします。まずはお二人の自己紹介をお願いいたします。
品川さん
入社以来、ANSERのインターネットバンキング、特に海外送金サービスを担当していました。その経験を活かし、さまざまな金融系のSaaSサービスをビジネス展開している部署で、現在この海外住所データの構造化サービスを担当しています。この部署では社会的な課題を検知して、課題解決に向けたサービスを提供しています。
土橋さん
NTTデータに入社後、外為勘定系システムを開発する担当に配属され、個人向けのインターネットバンキングサービスや証券会社の業務の開発や銀行出向などをするなかで、新規ビジネス創発に関心を持ち、この部署で海外住所データの構造化サービスを担当しています。
品川さん
入社以来、ANSERのインターネットバンキング、特に海外送金サービスを担当していました。その経験を活かし、さまざまな金融系のSaaSサービスをビジネス展開している部署で、現在この海外住所データの構造化サービスを担当しています。この部署では社会的な課題を検知して、課題解決に向けたサービスを提供しています。
土橋さん
NTTデータに入社後、外為勘定系システムを開発する担当に配属され、個人向けのインターネットバンキングサービスや証券会社の業務の開発や銀行出向などをするなかで、新規ビジネス創発に関心を持ち、この部署で海外住所データの構造化サービスを担当しています。
-ありがとうございます。お二人とも過去に海外送金サービスのご経験がおありで、それを活かして現在のサービスの展開を主導されているということですね。本日はよろしくお願いいたします。
住所データの構造化導入の背景
-最初に、住所データの構造化が必要になった背景をおうかがいします。社会的な課題を検知してサービスを考案なさるということですが、どのような社会的課題があったのでしょうか。
品川さん
マネーロンダリング対策が世界的な規模でされているなかで、日本も世界基準でそれに対応するべきという社会的課題があります。金融活動作業部会(Financial Action Task Force:FATF)というマネーロンダリング対策の国際基準策定・履行を担う多国間の枠組みが提示した、FATF勧告16とその改定で「ペイメントの透明性」の基準が定められています。
各国はこの勧告に基づき、国内法を整備して対策を講じる必要があります。FATF勧告16では、決済の透明性に焦点を当て、金融機関に対して電信送金やその他の価値移転をする際に送金元と受取人の完全な情報を記載することを義務付けています。
これにより金融機関は、送金依頼を受けたら、送金元と受取人双方の必要な情報を確認することになりました。この勧告は、さまざまな決済方法による送金を含め、国際送金と国内送金(外貨)の両方に適用されることになります。ISO20022は、国際標準化機構(ISO)が定めた規格で、金融サービスに関連するデータフォーマットの共通化・標準化に関するものです。
ISO20022では、送金元、受取人の双方に関する情報の構造化が必要になります。情報の構造化のなかで住所データの構造化は、送金元、受取人の双方をより強固に特定できるため、有効なマネーロンダリング対策になります。
海外送金をする際にはSWIFT※を経由する必要がありますが、海外送金には、コストを安価に、スピードを速く、不正取引を行わせないなどいろいろな課題があります。金融安定理事会※で海外送金の課題が設定され、 その対応にISO20022採用が含まれています。
土橋さん
私たちの部署以外でもマネーロンダリング対策を実施しているところはあります。SWIFTを使った海外送金に関わる標準化の推進は、重要な社会課題であるため、海外送金に対する知見を活かし取り組んでいます。
品川さん
マネーロンダリング対策が世界的な規模でされているなかで、日本も世界基準でそれに対応するべきという社会的課題があります。金融活動作業部会(Financial Action Task Force:FATF)というマネーロンダリング対策の国際基準策定・履行を担う多国間の枠組みが提示した、FATF勧告16とその改定で「ペイメントの透明性」の基準が定められています。
各国はこの勧告に基づき、国内法を整備して対策を講じる必要があります。FATF勧告16では、決済の透明性に焦点を当て、金融機関に対して電信送金やその他の価値移転をする際に送金元と受取人の完全な情報を記載することを義務付けています。
これにより金融機関は、送金依頼を受けたら、送金元と受取人双方の必要な情報を確認することになりました。この勧告は、さまざまな決済方法による送金を含め、国際送金と国内送金(外貨)の両方に適用されることになります。ISO20022は、国際標準化機構(ISO)が定めた規格で、金融サービスに関連するデータフォーマットの共通化・標準化に関するものです。
ISO20022では、送金元、受取人の双方に関する情報の構造化が必要になります。情報の構造化のなかで住所データの構造化は、送金元、受取人の双方をより強固に特定できるため、有効なマネーロンダリング対策になります。
海外送金をする際にはSWIFT※を経由する必要がありますが、海外送金には、コストを安価に、スピードを速く、不正取引を行わせないなどいろいろな課題があります。金融安定理事会※で海外送金の課題が設定され、 その対応にISO20022採用が含まれています。
土橋さん
私たちの部署以外でもマネーロンダリング対策を実施しているところはあります。SWIFTを使った海外送金に関わる標準化の推進は、重要な社会課題であるため、海外送金に対する知見を活かし取り組んでいます。
※SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication):金融機関同士の国際金融取引を行う際の、金融メッセージングフォーマットの標準と、メッセージングのためのプラットフォームを業界に提供し、そのネットワークへのアクセスと業務との統合、認証確認、データ分析、法令遵守を容易にする製品とサービスを提供する機関。
※金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board):主要国・地域の中央銀行、金融監督当局、財務省、主要な基準策定主体、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)等の代表が参加する組織。金融システムの脆弱性への対応、金融システムの安定を担う当局間の協調の促進に向けた活動を行う。
※金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board):主要国・地域の中央銀行、金融監督当局、財務省、主要な基準策定主体、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)等の代表が参加する組織。金融システムの脆弱性への対応、金融システムの安定を担う当局間の協調の促進に向けた活動を行う。

土橋 龍太郎 さん
-マネーロンダリングへの対策として多くの国際的な機関や枠組みが、送金元、受取人の正確な情報を要求し、それに対応するために住所データの構造化を行う必要がよくわかりました。では、実際に海外に送金する企業にはどのような影響があるのでしょうか。
品川さん
住所データ構造化の制度は、2025年11月から本格的に導入され、2026年11月には猶予期間が終了します。それ以降は企業が銀行に海外送金を依頼するときに、構造化されていない住所データを通知しても、国際標準(ISO20022)の要件を満たしていないという理由で、銀行が送金拒否をしたり、構造化した住所データの提供依頼をしたりすることがあるかもしれません。また、マネーロンダリングが国際的な問題になっているなか、金融機関だけではなく送金元である企業にも責任が問われる傾向が強くなっています。
さらに、FTAF勧告はマネーロンダリング対策の法令等の整備状況を評価します。この勧告の内容が法令化されると住所データの構造化は、企業に対して直接的な義務となる可能性があります。早期に対応することで、先んじたリスクを回避でき、勧告に対応するための逐次的な対応を取らずに済みます。
-監督官庁からはどのような指針が示されているでしょうか。また企業は具体的にどのような対応をする必要があるのでしょうか。
土橋さん
金融庁からFATF勧告に関するアナウンスがされています。これに従い、私たちは対応を考えサービスを提供しています。企業での対応としては、現在管理している受取人の住所を、ISO20022に対応する構造化データに変更する必要があります。企業ごとに利用している会計システムやERPなどに合わせて構造化されたデータを作り、これが送金用の電文に使われます。
この構造化の対応が遅れると、取引の自動化に対応できず、手作業で受取人ごとに非構造データを構造化データに変更する必要があります。住所データが正確に構造化されていないと、送金が正常に行われずサプライチェーンにある他の取引先に影響を与えることも考えられます。管理している海外の受取人の数や、月間、年間の海外送金件数を考えてみると一括した対応が効率的です(図1参照)。
品川さん
住所データ構造化の制度は、2025年11月から本格的に導入され、2026年11月には猶予期間が終了します。それ以降は企業が銀行に海外送金を依頼するときに、構造化されていない住所データを通知しても、国際標準(ISO20022)の要件を満たしていないという理由で、銀行が送金拒否をしたり、構造化した住所データの提供依頼をしたりすることがあるかもしれません。また、マネーロンダリングが国際的な問題になっているなか、金融機関だけではなく送金元である企業にも責任が問われる傾向が強くなっています。
さらに、FTAF勧告はマネーロンダリング対策の法令等の整備状況を評価します。この勧告の内容が法令化されると住所データの構造化は、企業に対して直接的な義務となる可能性があります。早期に対応することで、先んじたリスクを回避でき、勧告に対応するための逐次的な対応を取らずに済みます。
-監督官庁からはどのような指針が示されているでしょうか。また企業は具体的にどのような対応をする必要があるのでしょうか。
土橋さん
金融庁からFATF勧告に関するアナウンスがされています。これに従い、私たちは対応を考えサービスを提供しています。企業での対応としては、現在管理している受取人の住所を、ISO20022に対応する構造化データに変更する必要があります。企業ごとに利用している会計システムやERPなどに合わせて構造化されたデータを作り、これが送金用の電文に使われます。
この構造化の対応が遅れると、取引の自動化に対応できず、手作業で受取人ごとに非構造データを構造化データに変更する必要があります。住所データが正確に構造化されていないと、送金が正常に行われずサプライチェーンにある他の取引先に影響を与えることも考えられます。管理している海外の受取人の数や、月間、年間の海外送金件数を考えてみると一括した対応が効率的です(図1参照)。

図1:住所データ構造化未対応で取引先に与える影響
また、送金ごとに手作業で構造化データに変換すると、人手不足のなかミスを出さずにどのような対応するのか、ミスが起きた場合のリカバリー手順の確立、2026年11月を目前にした駆け込み需要で会計システムやERPのベンダーのサポートが十分に得られないこと、対応遅延による監査指摘など、さまざまなコストやリスクが発生します。制度が本格施行される段階で急いで対応するよりも、早期に対応したほうが効果的であると考えられます(図2参照)。

図2:住所データ構造化の対応企業と未対応企業の差
私たちは、上記課題を踏まえ、非構造の住所データを構造化するサービスAddresstune™を提供しています。下記サイトでこのサービスを紹介しています。

図3:Addresstuneのサービスイメージ
住所データ構造化とその課題
-早期に対応することの重要さがよくわかりました。早期に対応を行わず、誤ったデータで大規模なマネーロンダリングに関与してしまったら、その企業の社会的信用に関する影響はとても大きなものになるでしょう。では、国際的に喫緊な対応が必要な住所データの構造化について、どのようなものかをお聞かせください。
品川さん
ISO20022は、送金などの金融サービスで利用される通信メッセージに関する電文フォーマットのルールや手続きを規定したものです。現行の海外送金のメッセージはMTフォーマットと呼ばれる平文形式の電文でやり取りされていますが、2025年11月からMXフォーマットという構造化された電文フォーマットに変更になります。
ただし、ISO20022対応の一環である住所情報の構造化は、対応期限が1年延長されました。下の図4のように2026年11月までは猶予期間として非構造なMXフォーマットの電文上で非構造な住所データ(Unstructured形式)も利用が可能 ですが、2026年11月以降は、構造化された住所データ(Full-Structured形式 or Hybrid形式)の使用が必須になります。
品川さん
ISO20022は、送金などの金融サービスで利用される通信メッセージに関する電文フォーマットのルールや手続きを規定したものです。現行の海外送金のメッセージはMTフォーマットと呼ばれる平文形式の電文でやり取りされていますが、2025年11月からMXフォーマットという構造化された電文フォーマットに変更になります。
ただし、ISO20022対応の一環である住所情報の構造化は、対応期限が1年延長されました。下の図4のように2026年11月までは猶予期間として非構造なMXフォーマットの電文上で非構造な住所データ(Unstructured形式)も利用が可能 ですが、2026年11月以降は、構造化された住所データ(Full-Structured形式 or Hybrid形式)の使用が必須になります。

図4:住所データ構造化までのスケジュール(2025年9月現在)
-2026年11月までの猶予期間をうまく使って対応していく必要がありますね。では、Unstructured形式、Full-Structured形式、Hybrid形式について説明いただけますか。
品川さん
まず、現在平文で保持している受取人の住所データが、Unstructured形式(非構造)になります。SWIFTは当初、住所データの構造化を下の図のように一気にFull-Structured形式で行う予定でした。Full-Structured形式では、住所に関する14個の項目の構造化が必要です。しかし実際には、SWIFTが公開する33か国であっても住所の構造化ルールが異なっているなどの理由で、なかなか対応が難しいことがわかりました。
そこでSWIFTはHybrid形式を用意しました。Hybrid形式は「国名」と「市区町村名」の2項目の構造化が必要な形式です。私たちのサービスでは、この形式をHybrid-Basic形式と呼称し、さらにこれに、「郵便番号」と「都道府県/州」といった行政区画を追加したHybrid Plus形式も提供しています。
品川さん
まず、現在平文で保持している受取人の住所データが、Unstructured形式(非構造)になります。SWIFTは当初、住所データの構造化を下の図のように一気にFull-Structured形式で行う予定でした。Full-Structured形式では、住所に関する14個の項目の構造化が必要です。しかし実際には、SWIFTが公開する33か国であっても住所の構造化ルールが異なっているなどの理由で、なかなか対応が難しいことがわかりました。
そこでSWIFTはHybrid形式を用意しました。Hybrid形式は「国名」と「市区町村名」の2項目の構造化が必要な形式です。私たちのサービスでは、この形式をHybrid-Basic形式と呼称し、さらにこれに、「郵便番号」と「都道府県/州」といった行政区画を追加したHybrid Plus形式も提供しています。

図5:Addresstune住所構造化の形式
-こうした制度の対応を先行している国や地域はあるのでしょうか。
土橋さん
先行する国というのは特にないです。送金時の電文に対して注意を払っている送金元の企業単位や、送金依頼を受ける金融機関単位で先行していることはあるのではないでしょうか。
会計システムやERPなどのベンダーは、ISO20022に対応した住所の構造化データを受ける仕組みは用意すると思われますが、企業が所持している非構造の住所データを規約に沿って構造化することまではサポートしていません。そこをサポートすることに、私たちのサービスの真価があると考えます。
-海外送金を行う企業がどのようなスケジュールで何をする必要があるかがよくわかりました。では、次にこの住所データ構造化サービスにどのように取り組んでいるかをお聞かせいただきます。
土橋さん
先行する国というのは特にないです。送金時の電文に対して注意を払っている送金元の企業単位や、送金依頼を受ける金融機関単位で先行していることはあるのではないでしょうか。
会計システムやERPなどのベンダーは、ISO20022に対応した住所の構造化データを受ける仕組みは用意すると思われますが、企業が所持している非構造の住所データを規約に沿って構造化することまではサポートしていません。そこをサポートすることに、私たちのサービスの真価があると考えます。
-海外送金を行う企業がどのようなスケジュールで何をする必要があるかがよくわかりました。では、次にこの住所データ構造化サービスにどのように取り組んでいるかをお聞かせいただきます。
生成AIによる住所データ構造化
-住所データの構造化に生成AIを使用なさっているとのことですが、お客様はサービスをどのように利用し、生成AIはどのように活用されているのでしょうか。
品川さん
私たちのサービスはSaaSで提供していますが、変換精度をあげるため、お客様に非構造の住所データをクレンジングしていただきます。次に、クレンジングした住所データを私たちのサービスに登録いただくことで、生成AIが処理して、住所データの構造化を行います。
最後に生成AIが出力した構造化された住所データをお客様にご確認いただき、会計システムやERPに入力することで送金用のデータとして利用いただくことになります。生成AIを用いた仕組みについては、過去の海外送金データを扱った際の知見をもとにして構築しております。
-それぞれの企業が独自に管理している住所データを構造化する際に、どのような点でご苦労なさっていますか。
土橋さん
国や地域による住所表記の違いが大きく、思いのほか地域差がある印象です。クレンジングしたデータを生成AIに処理させているのですが、生成AIが学習している住所表記のルールに基づき構造化をする仕組みになっています。生成AIの処理では、国名はほぼ一意に確定します。「都道府県/州」や「市町村名」などを正しく判別して、電文フォーマットのどの項目に何を入れるかを生成AIに確実に実行させる必要があります。
品川さん
日本の住所を例にすると、大分県大分市はOITA、OOITA、OHITAなど、アルファベット表記にすることで表記ゆれも起きています。これを電文の適切な項目に入れることはとても難しいです。日本人が日本の住所表記を判別して、県名にOITA、市町村名にOITAをそれぞれ入れることはたやすくできます。しかし海外の住所データを同様にできるかというと人間がやっても悩んでしまうことも多いです。ここに、生成AIが持つ各国の住所に関する知識をうまく利用するわけです。
住所項目を欠落させることなく、保持した状態でISO20022とSWIFTの定義に従い、生成AIに住所の構造化をさせることがポイントです。時として、生成AIがハルシネーションのような誤った挙動をすることも起こりえます。入力不可項目に項目が入ってしまう、逆に必須項目に値が入らない、などのことがなく、独自に作りこんでいるロジックを改善しながら、生成AIが正しく判断できるようにしています。ここが、これまでのシステム開発と異なり、苦労した点です。
土橋さん
私たちのサービスは、各国の住所表記の特性を考慮しながら、適切に処理ができるようにロジックやプロンプトを工夫し、受取人の住所データを構造化するサービスです。手作業で1件ずつ行う住所データの構造化を、生成AIを利用し半自動化し、お客様の確認を経て送金データに反映するサービスを提供しています。最終的なお客様確認に至るまで手厚くサポートすることもこのサービスの特徴です。
品川さん
私たちのサービスはSaaSで提供していますが、変換精度をあげるため、お客様に非構造の住所データをクレンジングしていただきます。次に、クレンジングした住所データを私たちのサービスに登録いただくことで、生成AIが処理して、住所データの構造化を行います。
最後に生成AIが出力した構造化された住所データをお客様にご確認いただき、会計システムやERPに入力することで送金用のデータとして利用いただくことになります。生成AIを用いた仕組みについては、過去の海外送金データを扱った際の知見をもとにして構築しております。
-それぞれの企業が独自に管理している住所データを構造化する際に、どのような点でご苦労なさっていますか。
土橋さん
国や地域による住所表記の違いが大きく、思いのほか地域差がある印象です。クレンジングしたデータを生成AIに処理させているのですが、生成AIが学習している住所表記のルールに基づき構造化をする仕組みになっています。生成AIの処理では、国名はほぼ一意に確定します。「都道府県/州」や「市町村名」などを正しく判別して、電文フォーマットのどの項目に何を入れるかを生成AIに確実に実行させる必要があります。
品川さん
日本の住所を例にすると、大分県大分市はOITA、OOITA、OHITAなど、アルファベット表記にすることで表記ゆれも起きています。これを電文の適切な項目に入れることはとても難しいです。日本人が日本の住所表記を判別して、県名にOITA、市町村名にOITAをそれぞれ入れることはたやすくできます。しかし海外の住所データを同様にできるかというと人間がやっても悩んでしまうことも多いです。ここに、生成AIが持つ各国の住所に関する知識をうまく利用するわけです。
住所項目を欠落させることなく、保持した状態でISO20022とSWIFTの定義に従い、生成AIに住所の構造化をさせることがポイントです。時として、生成AIがハルシネーションのような誤った挙動をすることも起こりえます。入力不可項目に項目が入ってしまう、逆に必須項目に値が入らない、などのことがなく、独自に作りこんでいるロジックを改善しながら、生成AIが正しく判断できるようにしています。ここが、これまでのシステム開発と異なり、苦労した点です。
土橋さん
私たちのサービスは、各国の住所表記の特性を考慮しながら、適切に処理ができるようにロジックやプロンプトを工夫し、受取人の住所データを構造化するサービスです。手作業で1件ずつ行う住所データの構造化を、生成AIを利用し半自動化し、お客様の確認を経て送金データに反映するサービスを提供しています。最終的なお客様確認に至るまで手厚くサポートすることもこのサービスの特徴です。
住所データ構造化サービスの展開
-なじみのない住所データを構造化データに変えることの難しさがよくわかりました。最後にこちらのサービスをどのような方にお届けしたいかについてお聞きしたいと思います。
品川さん
2021年のFATF第4次対日相互審査で重点フォローアップ国と評価され、政府や金融機関を含めマネーロンダリングへの対応を早急に迫られている状態です。よって受取人の住所データの構造化をする必要があります。
特に海外企業との取引が多く、送金先を多数お持ちの企業の方は、非構造の住所データ利用の猶予期間が終わる最終デッドラインの2026年11月までの対応完了をおすすめします。ここまでに対応していないと、各企業で保有している非構造の住所データを送金時に1件1件手作業で構造化する作業が必要となってしまいます。送金のたびに各国の住所表記の事情を調べ、ミスなく送金データを作ることは、量にもよりますが、人海戦術で対応することになるかもしません。
品川さん
2021年のFATF第4次対日相互審査で重点フォローアップ国と評価され、政府や金融機関を含めマネーロンダリングへの対応を早急に迫られている状態です。よって受取人の住所データの構造化をする必要があります。
特に海外企業との取引が多く、送金先を多数お持ちの企業の方は、非構造の住所データ利用の猶予期間が終わる最終デッドラインの2026年11月までの対応完了をおすすめします。ここまでに対応していないと、各企業で保有している非構造の住所データを送金時に1件1件手作業で構造化する作業が必要となってしまいます。送金のたびに各国の住所表記の事情を調べ、ミスなく送金データを作ることは、量にもよりますが、人海戦術で対応することになるかもしません。

品川 祐志 さん
土橋さん
現在は企業のお客様を中心にサービスのご紹介をしています。このサービスは、マネーロンダリング対策として規制が強化されるなかで、企業がより円滑に海外送金業務を行えるよう支援するサービスだと考えています。日本国内の企業はもとより、国際的な基準の導入はいろいろな国でも同様な課題をお持ちになっているはずです。私たちもNTTデータの海外関連会社を通じて、日本企業の現地法人などにアプローチさせていただいています。
送金データを作り、金融機関に送金依頼をしても、送金拒否や送金電文に関する問合せ対応で送金が遅れるケースも2026年11月以降には発生するかもしれません。今後、暫定方式であるHybrid 方式の廃止も予見されるため、繰り返しにはなりますが、早めの対策をおすすめいたします。
-2026年11月までの対応期限が迫るなか、マネーロンダリング対策としての住所データ構造化の緊急性と重要性についてお話をお聞きすることができました。このたびはありがとうございました。
現在は企業のお客様を中心にサービスのご紹介をしています。このサービスは、マネーロンダリング対策として規制が強化されるなかで、企業がより円滑に海外送金業務を行えるよう支援するサービスだと考えています。日本国内の企業はもとより、国際的な基準の導入はいろいろな国でも同様な課題をお持ちになっているはずです。私たちもNTTデータの海外関連会社を通じて、日本企業の現地法人などにアプローチさせていただいています。
送金データを作り、金融機関に送金依頼をしても、送金拒否や送金電文に関する問合せ対応で送金が遅れるケースも2026年11月以降には発生するかもしれません。今後、暫定方式であるHybrid 方式の廃止も予見されるため、繰り返しにはなりますが、早めの対策をおすすめいたします。
-2026年11月までの対応期限が迫るなか、マネーロンダリング対策としての住所データ構造化の緊急性と重要性についてお話をお聞きすることができました。このたびはありがとうございました。

品川 祐志 (しながわ ゆうし) さん

土橋 龍太郎 (どばし りゅうたろう) さん
NTTデータ 第三金融事業本部 e-ビジネス事業部 デジタル戦略室 課長代理
金融機関の勘定系システムやインターネトバンキングの開発、顧客営業に携わったのち、現在は、OpenCanvas Atelier®にて、金融機関向けを中心としたマイクロサービスの企画・営業・開発に従事している。
金融機関の勘定系システムやインターネトバンキングの開発、顧客営業に携わったのち、現在は、OpenCanvas Atelier®にて、金融機関向けを中心としたマイクロサービスの企画・営業・開発に従事している。
※本記事の内容は、執筆者および協力いただいた方が所属する会社・団体の意見を代表するものではありません。
※記事中の所属・役職名は取材当時のものです。
※AddresstuneはNTTデータの日本国内での商標です。
※記事中の所属・役職名は取材当時のものです。
※AddresstuneはNTTデータの日本国内での商標です。
入社以来、ANSERのインターネットネットバンキングの開発業務に取り組んできた。
現在は、OpenCanvas Atelier®にて、金融機関向けを中心としたマイクロサービスの事業開発に従事している。