バーゼル規制のはじまり
外為取引を行う銀行が倒産した場合、双方の国の決済システムの稼働時間および決済タイミングが異なることから、一方の銀行が支払った後に、相手方銀行が破綻すると、支払いを行った銀行は相手方からの支払いを受け取れなくなることで生じるリスクのことです。
一つの金融機関が破綻(支払不能)することで、他の銀行への支払が連鎖的に不能となること。また、その影響が市場全体に波及することです。
(日本では、海外拠点を持つ金融機関には8%超が適用され、海外拠点を持たない金融機関には国内基準として4%超が適用されています)
粗く言うとバーゼル規制とは、「どれだけの資産≒運用しているお金(分母)」に対して、「どれだけの自己資本≒返さなくてよいお金(分子)」を持っているかを示す世界共通の物差しと言えますが、自己資本比率が8%以上あれば不測の事態で損失を出しても破綻せずに耐えられる体力があると見なされています。
自己資本比率8%の基準を達成していることは、システミックリスクの引き金になる危険性が低いことを示しているため、国際的な金融取引への参加に必要な通行証(パスポート)だという言い方をする人もいます。
ちなみに8%の根拠ですが、はっきりとした定説はないようです。最低水準の検討の際、統計学を踏まえたいくつかの数字が上がるなか、少しだけ高めのハードルとして8%が出てきたという説が有力なようです。検討に参加した委員たちが議論のあとで外に出て空を見上げたら、雲の形が8という数字に見えたという逸話もあるそうです。
バーゼル規制の変遷
開始となりました。しかし、もうこれで安心とはならず次の心配事が出てきました。
何が心配になってきたかというと、分母にあたる資産のリスクの把握の仕方が少し大雑把すぎないか?という点です。そこをもう少し精緻化しようということになりました。
細かくなり過ぎないように触れてみると…
一口に銀行が運用する資産といっても国債や現金と、一般企業への貸出ではリスクが異なりますよね?自己資本比率を計算する際の分母の部分はリスクアセットと呼ばれますが、保有する資産(貸付債権、有価証券など)によって貸出先の信用に応じたリスクウェイトを掛けて算出します。(例えば、現金や国債ならリスクウェイトは0%=リスクがない、一般企業への貸出は100%=リスクがある、など)
バーゼルⅡでは、このリスクウェイトの算出の仕方について、2つの選択肢が示されました。
一つは従来のバーゼルⅠに基づいた「標準的手法」、もう一つは銀行のリスク管理手法の考えを取り入れた「内部格付手法」です。
ちなみに、内部格付け手法を用いると、より精緻にリスクアセット(分母)を計算することができるため、結果として分子にあたる資本が小さくて済むというメリットがあるとされています。ただし、内部格付手法を選択する場合には、当局(金融庁)の承認が必要になります。
バーゼルⅡが適用された後(日本では2006年度末)、リーマンショックによる金融不安(2008年~)がおきましたが、引き金となったリーマンブラザーズも自己資本比率は11%あったとされています。
そこで、今度は分子にあたる自己資本の質と量の見直しが行われました。
これがバーゼルⅢです。バーゼルⅢでは自己資本の定義を厳格化する等、主に分子の部分に見直しが加えられました。
もともと分子にあたる資本には、Tier1という銀行が思わぬ損失を被った時にすぐに補填等に使える資本(資本金、内部留保、普通株式等)と、Tier2という補完的な位置づけで使える資本(劣後債等)という少し異なる性格の資本が含まれていました。
このTier1・Tier2の要件を厳格化したり、最低所有水準を引き上げる等により損失吸収力の向上が図られました。分母に関しては、リスクの算出の仕方の見直しも行われています。
バーゼルⅢの適用については、日本国内では海外拠点を有する銀行(≒メガバンク)は2013年から、海外拠点を持たない銀行は2014年からとなっています。
なお、バーゼル規制はメジャーバージョンアップ(Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ)の他に、マイナーバージョンアップを行っていて、いまはバーゼルⅢに手直しを加えたバーゼルⅢ最終化という段階にあります。

バーゼル規制と銀行法
1992年の銀行法改正で自己資本比率に関する条文が定められたことで、国内のバーゼル規制に銀行法という根拠法が与えられた形になります。
第十四条の二 内閣総理大臣は、銀行の業務の健全な運営に資するため、銀行がその経営の健全性を判断するための基準として次に掲げる基準その他の基準を定めることができる。
一 銀行の保有する資産等に照らし当該銀行の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかの基準
二 銀行及びその子会社その他の当該銀行と内閣府令で定める特殊の関係のある会社(以下この号、第三章及び第四章において「子会社等」という。)の保有する資産等に照らし当該銀行及びその子会社等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかの基準
先に触れたようにバーゼル規制は各国間の合意ですが、この条文を根拠として金融庁の告示が示されることで、国内に適用が図られています。第1号では銀行単体ベース、第2号ではグループをベースにしていますが、いずれも“自己資本の充実”が適当であることの基準を定めるとしています。
基準を満たせなかった時はどうなる?
バーゼル規制の導入背景(システミックリスクの抑止等)からすると、当然Noですよね。
では、自己資本比率の基準を満たせなかった場合はどうなるかと言うと…
けっこう大変なことが待っています。行政処分について定めた箇所を見てみましょう。
第二十六条 (略)
2 前項の規定による命令(改善計画の提出を求めることを含む。)であつて、銀行又は銀行及びその子会社等の自己資本の充実の状況によつて必要があると認めるときにするものは、内閣府令・財務省令で定める銀行又は銀行及びその子会社等の自己資本の充実の状況に係る区分に応じ、それぞれ内閣府令・財務省令で定めるものでなければならない。
簡単に言うと、自己資本比率が低下し健全性に懸念が生じるような場合には、いくつかの区分に応じて改善計画の提出等の命令を出すことが定められています。
その区分は3つ(細かくは4つ)に分かれており、もっとも厳しい措置だと業務停止命令が待っています。区分と措置については、銀行法第二十六条第二項に規定する区分等を定める命令で定められています。

早期是正措置がある理由
また、自己資本比率が不足した際の措置を示しておくことで、銀行の経営危機が生じた時に当局が迅速に対応することができ、混乱の拡大を押さえることが期待されるとも考えられています。
銀行の役割として金融仲介というのがあげられますが、その大きな機能の一つに、預金者から集めたお金を企業等に貸し出すというものがあります。
しかし、不良債権等によって健全な経営が損なわれてしまうと、最悪の場合、預金者のお金が失われる可能性が生じてしまいます。
そうならないためにも、バーゼル規制を一つの有力な指標として健全な経営を行うことが求められ、それを守れない場合には相応の厳しい措置がとられるということになります。
ところで、日本の緊急用のパスポートですが、旅券法施行規則とかも見てみましたが色に
関する規定は見当たりませんでした…。
画像検索もしてみましたが、鮮やかな紫色のパスポートの画像が…。
何が正解なんだろう…??
今回のまとめ
・自己資本比率の水準は、国際的に活動する銀行には国際統一基準の8%超、海外拠点を持たない
銀行には国内基準である4%超を適用。
・銀行法第14条の2で、健全性を判断するための基準としてバーゼル規制を規定。
・自己資本比率の水準を満たせない場合には、段階に応じた早期是正措置が発動。
(銀行法 第26条第2項、銀行法第二十六条第二項に規定する区分等を定める命令)









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