テクノロジードリブンの苦難
「デジタル」という言葉がビジネスで語られるようになったのはいつからでしょうか。金融業界だと「Fintech」という言葉が登場した2010年代半ばが1つのターニングポイントになるかもしれません。
「銀行がなくなる日」「2025年の崖」といった言葉もささやかれるなか、金融×デジタルという切り口で何ができるか。私たちはこれまでさまざまな金融機関の方々と対話を続けてきました。
こうした営みを通じてあらためて気づいたことは、テクノロジードリブンで金融ビジネスを革新することのむずかしさです。
金融機関はデータセンターを自前でもつなど、他業界に比べてもテクノロジーへのリテラシーが高い業界として位置づけられますが、その一方で新規テクノロジーの活用に及び腰、あるいは関心がないというケースも少なくありません。
とはいえすぐにバズワードに飛びつけばうまくいくかというとそうではなく、いろいろとやってみたものの、「では金融は変わったのか」という問いにいますぐ答えられる人は、実は世界中をみてもあまり多くないのではないでしょうか。
「銀行がなくなる日」「2025年の崖」といった言葉もささやかれるなか、金融×デジタルという切り口で何ができるか。私たちはこれまでさまざまな金融機関の方々と対話を続けてきました。
こうした営みを通じてあらためて気づいたことは、テクノロジードリブンで金融ビジネスを革新することのむずかしさです。
金融機関はデータセンターを自前でもつなど、他業界に比べてもテクノロジーへのリテラシーが高い業界として位置づけられますが、その一方で新規テクノロジーの活用に及び腰、あるいは関心がないというケースも少なくありません。
とはいえすぐにバズワードに飛びつけばうまくいくかというとそうではなく、いろいろとやってみたものの、「では金融は変わったのか」という問いにいますぐ答えられる人は、実は世界中をみてもあまり多くないのではないでしょうか。
デジタル時代に銀行が果たすべき役割は少なくない
また、もう1つ感じているのが、特に若い世代を中心とした金融業界への期待値の低さです。金融機能は、それがなければ社会が回らない重要なインフラです。私たちはお金がなければ生活を営むことができません。
一方で、さしたるイノベーションが起こっていない、どこも一緒の業界とみなされているのも事実です。昔は優秀な若者は銀行員や公務員を目指したともいわれていましたが、昨今のイメージ調査などをみると、その志望度は他業界と比べて高くありません。
こうした移ろいを目にし、経験してきた私たちだからこそ、金融は実は面白く、さまざまな発展の可能性があることを知ってほしい、と考えています。
全国銀行協会は「銀行は「人」「企業」「国・自治体」などにお金という血液を送り込む心臓のような存在といえます」と銀行の役割を定義していますが、これらをつなぐ役割をもつ銀行がこれからのデジタル時代に果たすべき役割は決して少なくありません。
一方で、さしたるイノベーションが起こっていない、どこも一緒の業界とみなされているのも事実です。昔は優秀な若者は銀行員や公務員を目指したともいわれていましたが、昨今のイメージ調査などをみると、その志望度は他業界と比べて高くありません。
こうした移ろいを目にし、経験してきた私たちだからこそ、金融は実は面白く、さまざまな発展の可能性があることを知ってほしい、と考えています。
全国銀行協会は「銀行は「人」「企業」「国・自治体」などにお金という血液を送り込む心臓のような存在といえます」と銀行の役割を定義していますが、これらをつなぐ役割をもつ銀行がこれからのデジタル時代に果たすべき役割は決して少なくありません。
礼賛でもなく悲観でもないWeb3の本質を問う
Web3は2021年頃からよく聞かれるようになったキーワードです。同時にバズワードになったメタバースは、Facebookが社名をMetaに変えたことでも注目を集めました。
Fintech、DXなど、ここ数年は言葉の入れ替わるサイクルが非常に速いため、本書が出版される2023年には、Web3もメタバースもおそらくだいぶ聞き慣れた、聞き飽きた言葉になっているかもしれません。
数多くの解説本も出版されているなかで、なぜいまこのテーマを取り上げるのか、という声が聞こえてきそうですが、それは、バズワード的に消費された後、いよいよ本質は何なのか、実際にビジネスに適用できるのはどこなのか、という地に足の着いた議論に転換していくことが予想されるためです。
バズワードとしてもてはやされた時期が一段落したいまだからこそ、あらためてその可能性を、現実的な地平で探索してみたいと考えました。礼賛でもなく悲観でもない、長らく金融業界とともに伴走し、金融×デジタルの領域で挑戦を続けてきた私たちだからこそ語ることができるWeb3と金融の未来を本書で描ければと思います。
公知のとおり、銀行業界は非常に厳しい経営環境の真っただなかにあります。
デジタル化、店舗削減など、業務を取り巻く環境も大きく変化するなかで、自分たちの未来がどこへ向かっていくのか、不安に感じている銀行員の方も多いのではないでしょうか。
そういった方々に、銀行業界の行く末を考える一助としても役立てていただければ幸いです。
Fintech、DXなど、ここ数年は言葉の入れ替わるサイクルが非常に速いため、本書が出版される2023年には、Web3もメタバースもおそらくだいぶ聞き慣れた、聞き飽きた言葉になっているかもしれません。
数多くの解説本も出版されているなかで、なぜいまこのテーマを取り上げるのか、という声が聞こえてきそうですが、それは、バズワード的に消費された後、いよいよ本質は何なのか、実際にビジネスに適用できるのはどこなのか、という地に足の着いた議論に転換していくことが予想されるためです。
バズワードとしてもてはやされた時期が一段落したいまだからこそ、あらためてその可能性を、現実的な地平で探索してみたいと考えました。礼賛でもなく悲観でもない、長らく金融業界とともに伴走し、金融×デジタルの領域で挑戦を続けてきた私たちだからこそ語ることができるWeb3と金融の未来を本書で描ければと思います。
公知のとおり、銀行業界は非常に厳しい経営環境の真っただなかにあります。
デジタル化、店舗削減など、業務を取り巻く環境も大きく変化するなかで、自分たちの未来がどこへ向かっていくのか、不安に感じている銀行員の方も多いのではないでしょうか。
そういった方々に、銀行業界の行く末を考える一助としても役立てていただければ幸いです。
【CONTENTS】
CHAPTER1 新時代の貨幣と銀行の役割
CHAPTER2 Web3とは何か
CHAPTER3 テクノロジーとWeb3とのかかわり
CHAPTER4 Web3の先にある銀行の未来
CHAPTER1 新時代の貨幣と銀行の役割
CHAPTER2 Web3とは何か
CHAPTER3 テクノロジーとWeb3とのかかわり
CHAPTER4 Web3の先にある銀行の未来
<書籍の購入はこちらから> ※Amazonのウェブサイトに遷移します。
【執筆者紹介】
● 編著者
山本 英生
土田 真子
NTTデータ 金融イノベーション本部 ビジネスデザイン室 課長
大規模金融システム開発、金融系コンサルタントを経て、「テクノロジーは金融ビジネスを大きく変革させる」というビジョンのもと、2016年に「金融版 NTT DATA Technology Foresight」を立ち上げ。
現在は当該ブランドのマネージャーとして金融業界を中心に年間150件超のセミナー・寄稿を実施する傍ら、金融財政事情をはじめ、金融に関連するテクノロジートレンドに係る寄稿も多数手掛ける。社内外のプロフェッショナルを有機的につなぎ、新たな価値やビジネス機会を創出するデジタルキュレーションのスペシャリストとしても、第一線で活躍中。
大規模金融システム開発、金融系コンサルタントを経て、「テクノロジーは金融ビジネスを大きく変革させる」というビジョンのもと、2016年に「金融版 NTT DATA Technology Foresight」を立ち上げ。
現在は当該ブランドのマネージャーとして金融業界を中心に年間150件超のセミナー・寄稿を実施する傍ら、金融財政事情をはじめ、金融に関連するテクノロジートレンドに係る寄稿も多数手掛ける。社内外のプロフェッショナルを有機的につなぎ、新たな価値やビジネス機会を創出するデジタルキュレーションのスペシャリストとしても、第一線で活躍中。
相川 あずさ
NTTデータ 金融イノベーション本部 ビジネスデザイン室 課長代理
入社以降、専門領域としてDB(Oracle、PostgreSQL、データモデリング)に関する知見を磨き、金融業界を中心とした数々の基幹系/情報系システムの開発にデータベースエンジニアとして従事。その後、最新テクノロジーのリサーチ・分析業務にも活動の幅を広げ、金融機関の役職員向けのRPA導入に係る教材執筆や、雑誌への寄稿なども手掛ける。現在はWeb3やメタバースを含むテクノロジートレンドに係るソートリーダーとして金融領域の未来像を描きながら、各種戦略策定や社内外への情報発信にも取り組む。
入社以降、専門領域としてDB(Oracle、PostgreSQL、データモデリング)に関する知見を磨き、金融業界を中心とした数々の基幹系/情報系システムの開発にデータベースエンジニアとして従事。その後、最新テクノロジーのリサーチ・分析業務にも活動の幅を広げ、金融機関の役職員向けのRPA導入に係る教材執筆や、雑誌への寄稿なども手掛ける。現在はWeb3やメタバースを含むテクノロジートレンドに係るソートリーダーとして金融領域の未来像を描きながら、各種戦略策定や社内外への情報発信にも取り組む。
●執筆者
NTTデータ 峯村 圭介
NTTデータ 窪田 力丸
NTTデータ 高橋 玲於
NTTデータ 木戸 園子
山抱 加奈
●情報提供等協力者
日本電信電話株式会社 サービスイノベーション総合研究所 企画部
NTT社会情報研究所 Well-being研究プロジェクト
NTTデータ 平澤 素子
NTTデータ 神戸 雅一
NTTデータ IOWN推進室
NTTデータ 峯村 圭介
NTTデータ 窪田 力丸
NTTデータ 高橋 玲於
NTTデータ 木戸 園子
山抱 加奈
●情報提供等協力者
日本電信電話株式会社 サービスイノベーション総合研究所 企画部
NTT社会情報研究所 Well-being研究プロジェクト
NTTデータ 平澤 素子
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※本記事の内容は、執筆者および協力いただいた方が所属する会社・団体の意見を代表するものではありません。
※記事中の所属・役職名は取材当時のものです。
※記事中の所属・役職名は取材当時のものです。
1996年NTTデータ通信(現NTTデータ)入社。システム開発を経験した後、金融領域のITグランドデザイン策定や、量子コンピュータ、AI、RPA、データマネジメント、グリーンなどの先進技術領域のコンサルティングや情報発信に従事。ITを最大限活用して成長を続けるビジネスの現状を考察し、その向かう先をトレンドで示す羅針盤「金融版 NTT DATA Technology Foresight」と、オウンドメディア「Octo Knot(オクトノット)」の責任者。データ活用による金融サービスの高度化を指す「センシングファイナンス™」を提唱し、日本経済新聞社と金融庁が共催する「FIN/SUM」をはじめ、セミナー・講演の実績多数。週刊金融財政事情などの雑誌の寄稿も実施。