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振込口座を一括で確認!驚くほどスムーズになる送金の事務手続き

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今や銀行へ足を運ばなくても、パソコンやスマホを使って24時間振込ができるようになりました。個人間ではスマホアプリでの送金が普及して、銀行で振込をする機会はめっきり減りましたが、多くの自治体や企業では支払いを行うために毎月大量の振込作業をしています。そのような大量の振込作業につきものなのが「振込エラー」。面倒な事務手続きに悩みを抱える経理担当者の方も多いのではないかと思います。実はその悩みを解決する仕組みがあるのをご存じでしょうか? 今回は、一般にはあまり知られていない銀行業務「振込」の裏側に注目し、実際にご利用の会社がどのように課題を解決したのかもご紹介します。

私たちの日常生活は振込がたくさん!

最近振込なんてしたことがないし、あまり縁がないなと思っていませんか。自分で振込をしなくても、個人口座宛てに振り込まれるということは今でもよくあります。例えば、毎月の給与の受け取りもその一つです。
私たちの給与は銀行口座への振込が一般的です。しかし海外では銀行振込のほかにも小切手払いやpayroll card(※)などで給与払いを行っています。法制度が異なるということもありますが、意外と誤振込が起こることや、銀行口座を持たない人がいるなどの理由で、振込以外の仕組みを利用している側面があります。
日本では振込を間違えるとか、振込先が分からないなどといったことは考えられないことですね。

他にも、税務署からの還付金受け取りや自治体からのコロナ給付金の受け取りなども、個人口座への振込です。案外、個人宛てにも振込されることが多いことに気づかれるかと思います。

(※) payroll card:給与の振込先として機能するカードのこと。銀行口座を持つ必要がなく、振込まれたpayroll cardをそのまま支払いの決済に利用したり、ATMから現金を引き出したりすることができる。

「統合ATMシステム」って何?

個人で銀行のATMやインターネットバンキングで振込をするとき、振込先の金融機関名・支店名・口座番号を入れると相手の名前(振込受取人名)が即座に表示されることを不思議に思ったことはありませんか。当たり前のように振込先が表示されているので、疑問に思わない方が多いかもしれません。これは、各銀行の口座情報を「統合ATM」というシステムでつないでくれているために、正しい振込先が瞬時に表示されるのです。

統合ATMシステムは、国内の都市銀行、地方銀行、信用金庫など100を超える金融機関の間でそれぞれが独自/共同で持っているCD(現金引出機)やATM(現金自動預払機)の相互接続をサポートする中継システムです。自分の利用している金融機関以外でも入出金や残高照会、相手の振込口座確認ができるのは、この統合ATMシステムが各行の口座情報をつないでくれているおかげなのです。現在ではゆうちょ銀行やネット銀行との相互提携も実現されています。インターネットバンキングでも同じ機能が使われていますので、国内であればどのような場面でも利用できるのですね。

このようなちょっとした便利なサービスは、私たちに直接見えないのですが、さまざまなシステムがつながりあい、“当たり前のサービス”として提供されています。

こと銀行業務に関しては、日本では間違いがないことが大前提になっています。実はこの統合ATMシステムは個人利用だけでなく、地方自治体や企業などで大いに役立っています。その代表例が先ほどご紹介した個人宛ての振込です。

次に、振り込む側から見た時のお話をします。

自治体や企業の振込の実態

冒頭でお話ししたように、実は自治体や企業はたくさんの振込をしています。それは個人宛てだけに限らず、対企業に対しても同じです。分かりやすい例では、企業の取引先への支払いがあります。

企業が振込を行う代表例は給与振込です。毎月、決まった日に個人口座に給料が入ってきます。これは、雇用企業が社員の給与振込データを作成し、取引金融機関に振込依頼を出しているからです。“指定された日(給料日)”にみなさんの口座に正確に振り込みされる銀行取引の仕組みの一つです。

他にも、コロナ禍で国民全世帯に給付金支給の振込があったことは記憶に新しいと思います。お子さんがいらっしゃる方は四半期毎に児童手当を受け取っている方もいらっしゃいます。多数の人に同時に振込をするというのは、裏で事前に準備するという事務作業をしているために一斉に行えるのです。

自治体や企業が取り扱う振込は1回数件程度のものもあれば、数万、数十万件に及ぶことがあります。会社では社員数分、自治体は世帯数分といった具合です。そのような大量の振込(給付金の振込、支払い、給与振込)は、振込先が正しいことを確認しなければ当然振込ができません。

しかし、こうした大量の振込における振込先確認は、ATMやインターネットバンキングによる都度振込とは少し事情が異なります。予めまとまった振込データを作成するため、ATMの画面から1件1件口座番号を入力して、都度振込先を確認するということができません。コロナ給付金の支給のように1回きりの振込や、頻繁に振込先が替わるような企業の支払いなど、その都度振込データを作り、正誤作業が行われています。

手作業で作られた振込データですが、名義が誤っているときや、振込先が見つからないなどで振込不能になったときには、手続きのやり直しが必要になります。正しく振込をするために行う「組戻し」という処理です。組戻しとは、金融機関に依頼した振込内容を取り消す処理を実施し、再び正しい情報で振込依頼を出します。振込を期日通り行うためにも、次の処理は確実に正しい情報でなくてはなりません。しかし何を間違えているのか、確認する作業は大きな手間がかかります。

1件の間違いならともかく、このような組戻しの手続きは、企業や自治体で毎月多数発生しています。これが多くの自治体や企業にとって膨大な事務作業の手間となっています。

給料や給付金が予定通り振り込まれないと困るのは受け取る側の私たちも同じです。支払いを待っている企業も、予定通りお金が振り込まれないと資金繰りに困ってしまうかもしれません。正しく振込されるというのは、当たり前であるとともに非常に大切なことなのです。

実はこのような余計な事務手続きを削減し、振込ミスのトラブルを防止できる仕組みがあります。それが、先ほど登場した統合ATMシステムを応用した「振込データ一括口座確認機能」です。ATMなどを通じた1回1回の都度振込で振込先を事前確認できる機能を、まとまった件数の振込データにも使えるようにしたものです。一括で振込先口座が存在するか、情報が正しいのかを確認できます。

振込データ一括口座確認機能はこのようなとき、役立ちます。
  ・従業員数が多い、または頻繁に従業員の入れ替わりがある企業等での給与振込
  ・中小企業や小売業等で取引相手が頻繁に変わる支払い
  ・地方自治体による住民への還付金、給付金等の振込
  ・生命保険会社、損害保険会社による保険金の支払い
  ・会費を返却する際の各種振込や返戻金
  ・奨学金、奨励金の支払い

この振込データ一括口座確認機能は、お取引をされている金融機関を通じて利用することができます(利用可否は金融機関によって異なります)。

振込データ一括口座確認機能による業務効率化の事例

実際にこの機能がどのような場面で役立っているのか、事例をご紹介します。コンサートなどの各種イベントのチケット予約・購入・販売サービスを運営されている株式会社イープラスさんにお話を伺いました。
イープラスでは、多くのイベントのチケット販売を手掛けており、イベント(公演)終了後にイベント主催者と精算(振込)を行います。

その際に、主催者から事前にいただいた口座情報に不備があり、予定していた精算日にお支払いができないということが発生することがありました。
これまでは、振込不可となったことで振込情報の不備が発覚していたため、主催者へ急いでご連絡をし、口座情報の変更手続きを行い、再振込をしていました。

支払いができない原因としては、お客様情報の不備(記入ミス)となりますが、口座情報については不備があるのか弊社側で見ただけでは判断できないことが難点となっておりました。

そこで、振込データ一括口座確認機能が役立っています。
主催者様に口座情報をご登録いただいた後、すぐに内容の整合性が確認できるようになり、登録間違いがある場合には事前に登録修正の手続きをお願いしています。そのため、確実に振込予定日にお支払ができるようになりました。

図:「振込データ一括口座確認機能」イメージ

多くの振込作業を抱えるイープラスさんでも、予定通り確実に振込するために、事前の口座確認依頼が一括でできるという便利で優れた機能で、大変助かっているそうです。

振込データ一括口座確認機能は、取引先の振込事務を効率化できる仕組みとして、多くの銀行で導入が進みつつあります。銀行にとっても、組戻しにかかる事務コストが軽減されるため、今後もますます広がっていくと思われます。

振込は大変な事務作業

多くの振込先がある場合、人間の目で確認しながら手作業で振込のための入力データを作る作業は大変なことです。ましてや、個人やお客様からいただいた振込先の情報が正しいのか、それをシステムに入力している情報が正しいのかということは、振込元である企業や自治体は知る由もありません。イープラスさんのように、振込エラーが発生して、初めて振込情報が間違いであることに気付くのです。

以前、給付金の誤振込がニュースになったことがありますが(その時は入金額の間違いでしたが)、振込の入力データを人の目で確認し、手入力で作っている自治体は少なくありません。ですから、事前に振込先名義が正しいかを確認するのは、振込元、振込先双方にメリットのある大変便利な機能です。

手間やコストなど様々な事務手続きを削減するというものですが、かゆいところに手が届く、日本らしいシステムだと思います。

普段表には出てこない統合ATMシステム。個人では銀行ATMなどの利用で私たちの銀行手続きを支え、自治体や企業では振込の事務手続きを軽減する、まさに私たちの社会を支えるシステムです。

大量の振込で発生する振込エラーの処理にお困りの方は、ぜひお取引先の金融機関にお問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。

おわりに

オクトノットでは、私たちの社会インフラを陰で支える情報システムにスポットを当てて、今後もご紹介していきます。
このシステムってどういう仕組みなの?といった情報システムに関する素朴な疑問にも、記事でお答えします。問い合わせはオクトノット編集部までお気軽にどうぞ!
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執筆 川崎 聖之助

1997年よりNTTデータ勤務。決済ビジネス領域で主に企業様の振込に関連するソリューションに従事。山登り・スキーが趣味ではあるものの、このところは子育てに奮闘しており早く子供と一緒に山に行ければなとねがう毎日。

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