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コラム

送金の“あたりまえ”が変わる!? 新サービス「ことら」を使ってみた!

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銀行から生まれた新たな送金サービス「ことら」。どんなサービスか興味がある方も多いのではないでしょうか?いままでの送金サービスとは一体何が違うのか。実際に使って試してみました!「ことら」の生みの親、川越洋社長のインタビューにも注目です!

お金の「新しいあたりまえ」を作る「ことら」とは?

「ことら」って何?

利用できる店舗も拡がり、普及が進んできたキャッシュレス決済。最近ではちょっとした買い物や送金といった数百円程度のやり取りに使われるシーンも増えています。こういった小口決済の増加に対して誕生したのが、これまでにないシームレスな送金サービス「ことら」です。

「ことら」の一番の特徴、それはズバリ“異なるキャッシュレスアプリや銀行口座のあいだで送金ができること”です(図1)。自分は〇〇Payから送りたいけど、相手は銀行口座しか持っていない・・・なんて経験、ありませんか。そんな悩みを解決してくれるのがこの「ことら」なんです。「ことら」に加盟している事業者間であれば、銀行やPay事業者などの業態に縛られず手軽に送金することができます。

図1:ことらのサービスイメージ

さらに「ことら」には、「銀行口座」での資金移動をもっと手軽に使うための仕組みも備わっています。そのポイントとなるのは「メールアドレスや電話番号」です。普段から連絡を取り合っているような友人同士でも、お互いの銀行口座番号まで知っていることって、あまりないですよね。ちょっとしたお金をやり取りする必要が生じたときに「わざわざ銀行口座を聞くのもなぁ・・・」と感じる方も多いのではないでしょうか。

そんなのハードルを解決できるのも「ことら」の特徴の1つ。例えば、〇〇Payアプリでお金を送りたい人(送金人)と、××銀行の口座でお金を受け取りたい人(受取人)がいたとします。

通常なら受取人の口座番号を知らないと送金ができません。そんなとき、まず受取人は自分の銀行口座と「メールアドレスや電話番号」を、「ことら」のサービスで紐づけしておきます。すると、送金人は受取人の口座番号を知らなくても、〇〇Payアプリで受取人の電話番号を入力するだけで、〇〇Payから直接銀行口座に送金できるようになるんです。

これは相手が銀行口座ではなく、Pay事業者のアプリであっても同じです。予めメールアドレスや電話番号と紐づけておくことで、IDを聞く必要がなくなります。さらに、「ことら」は通常の銀行振込よりも安価な手数料、もしくは一部は無料で送金できることから、コスト面で魅力的であることでも注目を集めています。

図2:ことらサービスの特徴

「ことら」は誰が提供しているの?

「ことら」は、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行の5行で作られたジョイントベンチャー「株式会社ことら」により提供されています。なお、「ことら」のプラットフォームには、ジョイントベンチャーに参加していない金融機関やPayアプリなどを提供する資金移動事業者業も加盟することが可能です。

では、新たにリリースされた「ことら」はどんなシーンで便利に使えるのか。実際に試してみました!

実際に「ことら」を使ってみた!

「ことら」はどんな場面で使えるの?

①割り勘・立替の精算もみんながハッピーに!!

旅行や外食の際に、誰かが立て替えて後々他の人から集金することってよくありますよね。でも、みんながそれぞれ違う銀行やキャッシュレス決済サービスを使っているとどうなるでしょうか。

立て替えた人に合わせると、送金する側には他行あての高い振込手数料がかかってしまいます。一方で送る側に合わせると、立て替えた人は普段使わない銀行口座やキャッシュレス決済サービスのアカウントに資金が振り込まれてしまい管理が大変です。つまり、どちらかに負担が生まれる構造となっているわけです。

そんなシーンに、早速「ことら」を使ってみました!!
立て替えた人も送る人も、お互いがメインで利用しているサービスを使って資金移動できるのでこれはありがたい・・・。私の、普段使わない〇〇Payに資金塩漬け問題も解決!

しかも、前述した電話番号やメールアドレスで送る機能を利用すれば、わざわざ口座番号やIDを聞かなくても済むのも嬉しい。会社だと上司や同僚に口座番号聞いたり教えたりするのもちょっと抵抗あったので。

②サークル、同好会などの集金で口座番号集めなくていい!!

サークルや同好会における合宿や学園祭等の大きなイベントで、先に概算分を集金した後に、イベント終了後参加メンバーに残金を案分して返すようなことがあります。「ことら」を使い電話番号やメールアドレスで集金も返金も行うことで、幹事もメンバーも手間を省くことができます。

また多くのイベント参加者が、自分の普段利用している金融サービスを利用することができるので、個々人の送金にかける手間を少なくすることができます。
支払先は〇〇Payしか使えないけど、自分や参加者の多くが△△Payを頻繁に使っているような場合もあります。こうした場合、△△Payで集金をし、〇〇Payで支払先にまとめて支払うこともできます。
③複数銀行での口座管理がラクラクに!!

皆さんのなかにも、用途に応じて複数の銀行口座を使い分けている方は多いのではないでしょうか。例えば、給与を受け取ったら、そこから普段使いのお財布用口座、子供の教育費口座などにお金を振り分ける、といったイメージです。

そんなときに発生するのが資金移動の手数料問題。同じ銀行内であれば無料か、安価で済む場合が多いですが、他の銀行に移す場合はやっかいです。他行の場合、自分名義の口座であっても、他行宛て送金の振込手数料がかかってしまうからです。

それを避けるために、お給料を受け取った銀行のATMで現金を引き出し、入金先の銀行ATMに移動して入金する、なんていう人も結構いるのでは・・・(実は私もその一人)。

そんな場面でも「ことら」が活躍します。他行宛て送金よりも比較的安価に、多くの金融機関が無料で送金できるようなのでわざわざATMに行く手間が省けます。このメリットは夫婦で共通口座を作っているようなケースにも応用できそうですね!

給料日のお昼休みになるとATMに行列ができる・・・そんな光景もなくなるかもしれません。

意外と簡単!「ことら」の使い方

このように個人が行う資金移動にさまざまなメリットをもたらす「ことらサービス」が始まりました。どのようにすれば「ことら」を利用できるかを簡単に説明します。

・アプリケーションのダウンロード
「ことら」を使うには「ことら」対応のアプリケーションをダウンロードする必要があります。2022年10月11日現在「ことら」を使えるアプリはウオレットプラス、こいPay、J-Coin Pay、はまPay、BankPay、YOKA!Payになります。

図3:「ことら」が利用できるアプリ(五十音順)

今回はNTTデータが開発し日本電子決済推進機構により提供されているデビット決済アプリ「BankPay」を使って「ことら送金」をしてみることにします。「ことら」が利用できるアプリ・金融機関については、ことらの公式HP(https://www.cotra.ne.jp/p2pservice/​)でご確認ください。
・「ことら送金」の準備
「ことら送金」の画面イメージを図4に示します。ダウンロードしてサービスを利用できる状態にしたBankPayのトップ画面のメニューには図4の①のように「ことら送金」があります。これを選ぶと、②の受取口座の設定画面が出てきます。BankPayの利用者が、自分の電話番号・メールアドレスと口座の紐づけを設定するよう促されます。

②、③の画面ではBankPayの利用例です。「ことら」に対応したアプリに紐づけている電話番号とメールアドレス、口座を選択するだけで設定できます。追加の入力情報は不要であっという間に紐づけは完了します。この情報が「ことら」に登録されて、友達から電話番号やメールアドレスだけで簡単に送金してもらえるようになります。④の画面は送金準備の画面で、BankPayの残高がどの程度残っているかを確認し、「送金」ボタンを押すことで送金方法を選択することができます。

図4:「ことら」の送金準備イメージ

・「ことら送金」の実施
「ことら送金」の実施イメージを図5に示します。まず図5の⑤の画面で送金と送金のキーとなる情報を選択します。今回は既に「ことら」に登録をしている友人に送るため、「電話番号送金」を選択します。「ことら」に登録をしていない人やアプリを持っていない人には、「ことら送金」の画面から「口座番号指定」を選び、いつも通り銀行選択・口座番号を入力することで送金できます。

友人がことらに登録した電話番号を入力して検索すると、⑥の画面のように友人の銀行名と名義人の苗字が表示され、送金先の口座を確認できます。口座を確認した後に、⑦の画面で送金金額だけではなく、友人へのメッセージをつけることができます。食事会やイベントの幹事をしてくれた友人への感謝の言葉などを書き込むこともできます。

BankPayを利用した場合、送金操作直後に、送金先の友人にも着金した通知がアプリに紐づけたメールアドレスに届きました。着金の通知も口座残高を確認することなく実施できます。また、⑧の画面で、自分のBankPayアプリの送金履歴から、送った相手のフルネームと送った時間・金額・メッセージが確認できます。

図5:「ことら送金」実施のイメージ

このように、BankPayで「ことら」を利用する場合には、普段連絡を取り合っている電話番号やメールアドレスで、送金先を指定することができます。送金先の銀行の口座番号などを把握や管理をせずに送金できるのは便利ですね。

「ことら」を使ってみての感想

BankPayで「ことら送金」を行うのは、通常の振込よりも決済手数料を抑えられリーズナブルなだけでなく、電話番号で送れるのであっという間に振り込みができます。割り勘等、個人間での送金が必要な時にすぐに送れると感じました。
また、メッセージもつけられるので、立て替えてくれた人に感謝を伝えたり、見返したときに何の為の送金だったかが分かったりするので、とても便利でした。

現在は、利用できる金融機関アプリやキャッシュレス決済アプリが一部のものに限られています。今後、さらに幅広いキャッシュレス決済アプリに対応するようになると、もっと便利に使えるようになると思いました。

「ことら」の川越社長に聞いてみた!

最後に「ことら」の生みの親である株式会社ことらの川越社長に、「ことら」に込めた想いを伺いました!

「ことら」サービスの今後の展望 など

1.今後「ことら」では個人間送金以外に、どういった機能が使えるようになりますか?
自動車税などの一部の地方税を、ことらに対応しているアプリを搭載したスマホで納付できるサービスを準備しています。納付書と現金を持ってコンビニや銀行窓口に足を運んでいただく必要がなくなります。

2.「ことら」が使える先は増えていくのですか?
2022年10月11日から20の金融機関やキャッシュレスサービス(以下、接続先)で「ことら」の送金が使えるようになります。また、2022年11月24日から更に11の接続先、その後も26の接続先が、既に準備をはじめていただいています。

3.「ことら」の立ち上げに当たり苦労した点をお聞かせください。
2010年代半ば頃からスマホを使った小口送金サービスが世界各国で普及していきました。日本でもこれをキャッチアップすべく、NTTデータさんにも協力をいただき、2年間プロジェクトを進めてきました。スピードとコスト、相反する課題を同時にクリアするのは、とても大きなチャレンジでしたが、多くの関係者から大きなご支援をいただき、何とか計画通りサービスリリースに漕ぎつけることができました。但し、我々にとっては、これはゴールではなくスタートです。多くの方に便利に使っていただけるように、使える先を増やし、また、サービスの改善を続けていきたいと思います。
川越社長の話を聞いて「ことら」のさらなる可能性を感じました。金融サービスに携わる方々は、今後も「ことら」の動向を要チェックですよ!

2019年株式会社NTTデータ入社以来、クレジットカードのNWであるCAFISの周辺機能のソリューション営業として、共通ポイントやコード決済を担当。現在は、ことらサービスのインフラシステム「小口決済インフラ」のソリューション営業として、ことらサービスの立ち上げをサポート。

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