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金融が変われば、社会も変わる!

実践に学ぶ

シリーズ「人材不足への処方箋!」
~第5回「人材交流で既成概念をぶち壊す!共創プログラムのススメ」

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オクトノットの人気シリーズ「人材不足への処方箋!」。第5回は、事業創出人材を育成する共創プログラムをご紹介します。
イノベーションを起こすには異なる個性がぶつかり合う化学反応が必要。NTTデータでは新規事業創出でその化学反応を引き起こすために、違う会社の人材を送り込みました。それだけではありません。参加者の資質を計測し、異なる参加者同士の相性や情熱の変化にまで気を配ります。
4か月にわたったこの共創プログラムの結果とは!?

NTTデータオリジナル 新規事業創出プログラムとは

― 4か月にわたる共創プログラムお疲れさまでした。

嶌貫(しまぬき)さん ありがとうございます。参加者に恵まれて、大変、有意義なプログラムに仕立て上げられたと思います。

近藤さん お客様も、嶌貫さんのことを名指しで褒めていましたよ。

嶌貫さん
 ありがとうございます。本当にうれしいです。


― では、早速ですが、評判の良かったプログラムの概要を教えてください。

嶌貫さん 事業創出のメソッドを学びながら、実際にアイディアを出し合い、そのアイディアに賛同する人たちでチームを組んで、事業化を検討していくという約4か月のプログラムです。
(下図「新規事業創出プログラム」参照)


近藤さん
 工夫点がいくつかあるのですが、このプログラムにNTTデータ社員の有志が参加しているというのは1つの特徴です。既成概念をぶっ壊すために、異なるバックグラウンドを持つ会社を混ぜて、化学反応が起きるのを期待しました。


― お客様に提供する研修プログラムに自社(NTTデータ)の社員を混ぜるというのは面白いですね。

嶌貫さん はい。2024年6月にOne Dayでワークショップを実施したときにも同じようにNTTデータ社員が参加し、たくさんの新しい発見がありました。確かな手応えを感じたので、4か月以上のプログラムでも実施に踏み切ることができました。

近藤さん イノベーションに必要な異質なものの化学反応を起こそうとして、同じ会社の異なる組織から人材を集めても、なかなかうまくいきません。同じ文化や常識が共有されていて、意図せず似てしまっているので。そこを強制的に排除できるため、異なる会社の人材同士が起こす化学反応の方がはるかに効果的です。他社が入ることにより緊張感も高まりますし。


― 他にどのような特徴がありますか?

嶌貫さん 参加者の資質を測定する人材アセスメントProfileXT®(※1)を実施し、人の相性がどう作用するのか、運営サイドとして参加者の個性に適した介入をどうすべきかを実験的に行った点も特徴です。

近藤さん 事業創出にはさまざまなメソッドがありますが、どのメソッドを選んでも事業が生まれる確率に統計的な有意差はほとんどないんです。ある意味、どれを選んでも正解です。

だったら、何で差がつくのか。それは、新規事業に取り組む人の資質だったり、マインドだったり、モチベーションだったり。もしかしたら、チームの組み合わせが差を生むのではと仮説を立て、それを検証したかったのです。

嶌貫さん 私は、このプログラムに熱い想いで自ら応募してきた参加者が、振り返って得るものがほとんどなかったというのが、どうしてもいやだったので、資質データに基づいた最高の環境を用意したいと思いました。具体的には、メソッド等を使ったスキル獲得だけでなく、細やかなサポートを行うことで、チャレンジ精神、他己実現、自己効力感といったマインドの変化を促すことを目指しました。

(※1)HRD社による人間の資質を測定するアセスメント

― 実際の結果はどうでしたか?

嶌貫さん 正直なところ、データ数が不足していて断言はできません。2回目、3回目のプログラムを実施して、検証していきたいです。

近藤さん 検証がまだできていないので、公にはしにくいのですが、有力な仮説はいくつかあります。もし、ディスカッションしたいという方がいれば、お気軽に連絡ください。このテーマ、話をしたくてウズウズしているので。

嶌貫さん 過去にNTTデータの人事本部と一緒に研究した事例(※2)もありますし、今後の検証結果もオフィシャルに発信していくつもりです。

(※2) People Analyticsによる「資質の見える化」で事業創出人財を見極める

ケンカ別れも織り込み済み

― 4か月に及ぶ長いプログラムですが、トラブル等はありませんでしたか?

嶌貫さん いくつかありましたが、大きいトラブルとしては、とあるチームでお互いの考えが対立し、ケンカ別れのようになったことでしょうか。

近藤さん 文字で書くとさらっとした表現ですが、研修の現場ではかなり険悪な空気が流れていましたよね。

嶌貫さん はい。運営サイドでも、どのように介入すべきか非常に悩みました。


嶌貫さん
 ただ、実際に新規事業を立ち上げたり、起業したりする際にメンバー間のトラブルはよくある話です。そこをどう乗り切るかも事業創出における重要な要素だと思います。雰囲気が悪くなった理由は何なのか、雰囲気が悪くなることが事業創出にとってどの程度影響があるのかなど、検証しなければいけないと思っています。

近藤さん 嶌貫さんをはじめ、運営のメンバーはきめ細やかなアンケートやチャットを通じて、参加者やチームの検討状況や心理的な状態を把握していましたよね。本当に感心しました。

嶌貫さん ずっと見すぎて、参加者の上司や、人事部よりも、参加者自身の考えていることや行動パターンを把握しているという感じになってしまいました。

近藤さん すばらしいです。放任主義の上司としては、立場ないですけれど。

オーディションでパワーアップする共創プログラム

― 今後の展開について教えてください。

近藤さん 今回は、2社の参加でしたが、これを機に参加企業を増やしていきたいです。お互いの会社に出向するなど、人材交流にも取り組みたいと思っています。

嶌貫さん 今回は1回目ということで、手探りで実施したという面もありますが、そこで出た課題を解決して2回目以降につなげていきたいです。また、このプログラムから実際に事業化できる新規事業を生み出したいですね。


― 解決すべき課題とは何か、具体的に教えていただけますか。

嶌貫さん
 参加者は非常に熱量のある人たちが集まっているのですが、それでも、4か月以上にわたる長丁場、しかも、業務外での活動となると、次第に真剣さが薄れがちになったという反省の声もありました。特に、外部のアイデアソンに自主的に参加した方々からはそういった声が多かったです。そういう方たちに、真剣味を増すようなプログラムを用意していきたいです。

近藤さん
 具体的には、オーディション形式を取り入れることを検討しています。


― オーディション形式ですか?

嶌貫さん
 はい。プログラムの途中で、熱量が足りないと認められたり、パフォーマンスがイマイチと判断されたりした場合は、その時点で強制終了させるのです。

近藤さん 途中のマイルストーンで嶌貫さんに、『殻破れよ!』とか『売りたいんだろ!』と活を入れてもらうイメージです。

― ブートキャンプですか(笑) 最後に、事業創出を目指す皆さんにメッセージをお願いします。

近藤さん そもそも事業創出は成功確率が低いものです。少しでも成功確率の高い環境に身を置くことが重要ではないかと思っています。このプログラムを使って、もっと良い環境に身を置きたいという方は、気軽に声を掛けてください。

嶌貫さん 事業創出には、自社のビジョンや強み・弱みに立ち返り、チームで困難な状況を乗り越えるマインドが培われることが大切です。異なる価値観を持つ人々との交流を通じて、自分の価値観や資質に気づき、キャリア形成に役立てることができます。皆さんも、ぜひチャレンジしてください。

かく言う私自身も今回の共創プログラムを企画・実行したことにより、NTTデータで新規事業化を目指す社内ベンチャー制度に参加して、事業創出を目指すことにしました。

近藤さん、お世話になりました!

近藤さん えっ!!!

近藤さんの心の声 (デジタルタレントチームでは、「来る者を拒まず、去る者を追わず」というポリシーで運営しており、成長して外の世界で羽ばたいてくれと常々言っているからなぁ・・・
とはいえ、現実になると、なかなか気持ちの整理は難しいもので・・・来期のアサインどうしようかな・・・)
近藤さん あぁ、そっ、そうなんですね。嶌貫さんにとって、きっと良い選択肢だと思います。

もともと、社内公募でデジタルタレントチームに来るときも、“毎日ワクワクした状態で生きること”が人生の目的だとエントリーシートに書いてありましたもんね。

嶌貫さん いま、ワクワクしています。

近藤さん 戻ってこないつもりで、チャレンジしてください。


(独りになって)
近藤さん 今夜はへべれけだっ!(←いつもだろ!)

近藤 博一 さん
NTTデータ コンサルティング事業本部 コンサルティング事業部 部長
20世紀末、NTTデータ通信株式会社(現在の株式会社NTTデータ)に入社。2002年のコンサルティング部門発足当初より、一貫してコンサルティング業務に従事。2020年に法人ソリューション分野のスタッフに異動し、人材面での取り組みに課題が多いことに衝撃をうけて、デジタルタレントチームを立ち上げ、現在に至る。

嶌貫 南海(シマヌキ ミナミ)さん
NTTデータ コンサルティング事業本部 コンサルティング事業部 主任
NTTデータ入社後、法人分野のシステムエンジニアとしてECサイト性能改善、チャットボット開発、顧客向けモバイルアプリ開発に従事。社内公募制度により、コンサルティング事業部のデジタルタレントチームに参画し、直近では新価値創造人材の人材像定義/発掘/育成の支援を推進するとともに、起業を目指して活動中。
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執筆 オクトノット編集部

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