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実践に学ぶ

シリーズ「人材不足への処方箋!」
~第6回「上司ガチャ」をなくせ!
部下が上司を選ぶチーム運営の挑戦

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あなたがもし「上司を選べる」としたら、どんな上司を選びますか。実は、働きやすさや仕事のやりがいは、「誰と働くか」に大きく左右されます。
オクトノットの人気シリーズ「人材不足への処方箋!」。第6回のテーマは「上司ガチャをなくせ!」です。上司は会社が決めるものという常識を覆し、「部下が上司を選ぶ」という革新的な制度に挑戦しました。実際に組織にどのような変化が生まれるのか。実例をご紹介しながら、新しい組織運営のヒントをお届けします。働く環境を本気で変えたい方は必見です!


こんにちは!
ヒロコンドーことNTTデータ デジタルタレントチームの近藤です。

オクトノットでの「人材不足への処方箋」シリーズも連載6回目。私たちのチームは「最もNTTデータらしくないチーム」というコンセプトで、これまでの常識を覆すような新しいテーマに挑戦してきました。

今回は「部下が上司を選ぶ」という革新的な取り組みについて、メンバーへのインタビューを引用しながら、ご紹介します。

「上司は会社が決めるもの」...その常識を疑うことからスタートした

「部下が上司を選べたらいいのに」――そんな会話を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

上司と部下の関係は仕事のやりやすさに直結するので、相性が合うかどうかはとても大事です。しかし、これまで上司は会社が一方的に決めるもので、自分で選ぶいう発想はなかったと思います。

ですから、私が「これからは上司を選べます!」と宣言をしたときは、チーム内外から「本当にできるのか?」と驚きの声が上がりました。


そうそう。これまで上司を選ぶという発想がなかったから、上司像を言語化できていないんです。これが原因で、上司のマネジメントの質が向上していかないのかもしれません。

最近では、「部下が上司を選ぶ制度」を採用する企業も出てきました。このような制度を導入すると、社員のモチベーションが上がり、「この人のチームに入りたい!」と真剣に考えるようになることで、組織内の対話が増える結果につながっているのだとか。

上司も選ばれることで、「選ばれたからには期待に応えないと」と自然とリーダーシップが磨かれる好循環が生まれます。私たちはそういう世界観を実現したいんですよね。

特に、若手のうちは上司の影響度が大きいため、こういう制度は必要不可欠なんじゃないかと思います。

「部下が上司を選ぶ」とどうなるの?実際の変化と効果

この制度は、文字通り「自分がこの人のチームで働きたい」と部下が意思表示することで上司が決まる仕組みです。つまり、上司は「選ばれる側」になるわけです。これまでのような上司が部下を評価するだけの一方通行ではなく、双方向の評価です。

こうなると、当然「この人と働きたい」と思われる上司になるために、日頃から部下への接し方やマネジメントがとても重要になるんですよね。

これまでのように、上司はただ仕事ができるだけじゃダメ。しっかりと部下の話を聞き、尊重し、一緒に成長できるよう導いてくれる。そのような存在にならないと上司として選ばれないわけです。詰まるところ、上司は管理職になって一丁上がり、というわけにはいかない制度です。

上司側にも適正な部下の数があるため、部下の希望だけで決めるわけにはいきません。そこで私たちは、ProfileXT(※1)というアセスメントツールを使って、上司・部下間の相性を加味したうえで、DAアルゴリズム(※2)によりマッチングを行います。
(※1) HRD社による人間の資質を測定するアセスメント
(※2) Deferred Acceptance Algorithmは「安定なマッチング」を見つけるためのアルゴリズム

「上司を選ぶ」ことから生まれる責任

もちろん、この制度はメリットばかりではありません。人気の上司に希望が集中したり、逆に選ばれない上司がでたりといった課題も想定されます。それにより上司の立場やモチベーションの問題も出てきます。

私たちのチームの管理職は、組織・人材に関するコンサルタントであり、総じてマネジメント力が高いので、実行に踏み切れました。状況によっては、やろうと思ってもやれないチームはあるかと思います。

例えば、「なんとなく話しやすい」、「優しい」といった理由だけで上司を選んでしまうことにより、組織内に「なあなあ」が蔓延(まんえん)することも起こりえます。

また、上司を選ぶという考えに慣れていないため、あるいは、上司のことを知らないがゆえに選べないということもありそうです。


確かに初めての取り組みだったため、マネージャーの人柄を伝えきれず、上司を選ぶことが難しかったかもしれません。ところが実際には、82%の社員が上司を選ぶ権利を行使しました。


正直なところ、権利を行使したかどうかは、あまり重要ではありません。

この制度の一番大きな意義は、「自分はどんな上司と働きたいのか?」を部下自身が真剣に考え、「選ばれる上司とはどうあるべきか?」を管理職側が意識することではないでしょうか。

選ぶという行為自体には、責任が伴います。選んだ以上、部下自身にも責任が生まれ、「この人となら頑張れる」と自分の中でもスイッチが入るでしょうし、上司に対してもフィードバックを伝えやすくなります。一方、選ばれた上司も、「信頼を失えば次は選ばれないかもしれない」という緊張感があり、それが健全なプレッシャーとして働けば、組織全体の成長につながるはずです。


素晴らしい。もはや、どちらが上司なのかわからない感じになってきてしまいましたね。明日から、交代してもらおうかな。

「働きやすさ」は人間関係から

働きやすい職場は、仕事内容や待遇だけではなく、結局は「誰と働くか」に尽きると思います。

毎日顔を合わせる上司が、自分を理解し、困ったときに力になってくれる存在ならば、多少つらい仕事でも乗り越えられます。逆に、どんなに会社環境の条件がよくても、上司と合わないだけで会社を辞めたくなる。そのような経験はきっと誰にでもあるはずですよね。

だからこそ、「部下が上司を選ぶ制度」は、そうした人間関係の質を高める新しい手段として、これからもっと注目されていくはずです。

固定化した上下関係は、うまく行っているときは良いのですが、ちょっとしたボタンの掛け違えでハラスメントの温床になってしまいます。そのような状況を未然に防ぐという取り組みでもあります。


クラス替え。こんなふうに楽しんでもらえるといいんですよ。

会社ってもっと楽しいところなんだということを、みんなに感じて欲しいです。人生の中で、大きな時間を割く“仕事”で楽しまないなんて、もったいないじゃないですか。

固定概念を覆す過激な制度に思えるかもしれませんが、実際は、とても温かくてオープンな仕組みなんです。まあ、デジタレチームの管理職のマネジメントスキルが高いというのに甘えちゃったところもありますが。

新しい組織のカタチへ

この制度はすぐに導入できるものではないかもしれません。ですが、こうした柔軟な発想が、組織のあり方を見直すきっかけになるのは間違いないと思います。「上司と部下」という上下の関係から、「選び、選ばれる」対等なパートナーシップへの進化。そういう時代になってきています。

実験的にこのような取り組みを実施して、今年は中立的な運営側としてマッチングしたのですが、来年度は自分も“選ばれる側”に回りたいなぁ、と思いました。

一番人気のない管理職になっちゃったりして。そうしたら、この記事もろとも消し去ります。なかったことにしちゃおうっと。

ということで、皆さんも組織でもお試しあれ。

近藤 博一 さん
NTTデータ コンサルティング事業本部 コンサルティング事業部 部長
20世紀末、NTTデータ通信株式会社(現在の株式会社NTTデータ)に入社。2002年のコンサルティング部門発足当初より、一貫してコンサルティング業務に従事。2020年に法人ソリューション分野のスタッフに異動し、人材面での取り組みに課題が多いことに衝撃をうけて、デジタルタレントチームを立ち上げ、現在に至る。
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執筆 オクトノット編集部

NTTデータの金融DXを考えるチームが、未来の金融を描く方々の想いや新規事業の企画に役立つ情報を発信。「金融が変われば、社会も変わる!」を合言葉に、金融サービスに携わるすべての人と共創する「リアルなメディア」を目指して、日々奮闘中です。

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