パーソナルデータって何?
企業は取得したパーソナルデータを通じ、あなたのことを理解し、パーソナルデータを活用して最適な商品やサービスを届けようとしているのです。
パーソナルデータ活用に関する世の中の動き
しかし推計なので、実際は、友人の子供のプレゼントのために検索していた人だったり、そもそも20代女性ではなかったり、既に購入した商品だったりということが起きます。この人はこれ欲しいでしょ、という推計で出された広告で、まさにこれが欲しかった!とは、なかなかならないですよね。
(※1)DMP:Data Management Platformの略。データを一元管理・分析し、広告等のアクションプランの最適化を実現するプラットフォーム。
しかし、これが、推計ではなく、個人から直接パーソナルデータを教えてもらえたらどうでしょうか。これはもう購入済み、とか、私はこうした家族構成や属性で、今これを探しています、といった、確かな情報もとにその人にアプローチができます。企業にとっても、不要な人への広告配信を避けられますし、個人にとってもより自分に合った提案を受けることができるのです。そこで、個人が自分の意思で、サービス提案・提供を望む企業に対してパーソナルデータを提供することで、企業とより良い関係を構築していくという発想が生まれてきました。
パーソナルデータの流通が変える未来の世界
パーソナルデータを流通できるようになれば、家族や友人との関係性にも変化があるかもしれません。例えば、飲み会をセッティングしてくれるサービスに、参加するメンバーがそれぞれの食の好みやアレルギー、これまで行ったことがある飲食店等の情報を連携すれば、参加メンバーに最適な日時と飲食店、料理まで提案してくれるかもしれません。
私は過去に、一緒に行く友人の苦手な食材ばかりのフルコースを予約してしまったことがありましたが、そんな悲惨なことはもう起きなくなるでしょう。あるいは、相手の趣味嗜好や購入履歴からプレゼントを提案してくれるようなサービスがあれば、友人が自分の誕生日にちょうど欲しいと思っていたものをくれる、なんてこともあるかもしれません。
また、個人としては、パーソナルデータの流通を自らコントロールできるなら、より自分が好きなブランドや、魅力的なサービスを提供している企業に自分のパーソナルデータを提供して、そういった企業に、自分のための、自分にあったサービスを提供してほしい、と思うのではないでしょうか。
私は、暗闇フィットネスと呼ばれる、暗めの空間の中で音楽を聴きながら運動をするジムにはまっており、もう数年通っているのですが、その運営企業からアンケートのお願いがくると、対価はなくても必ず答えるようにしています。今後も通う意思があるので、要望やフィードバックを伝えたい、と思うからです。もし、そのジムから「あなたに最適なプログラムを作るから、音楽の好みや、ヘルスケアデータ、食事のデータを取らせてくれ」と言われれば、是非!となると思います。好きなブランドや企業が、自分のための商品やサービスを提供してくれるとしたら、わくわくしませんか?
自分のデータをコントロールできる?
「情報銀行」は、銀行が運営するもの?というイメージがあるかもしれませんが、銀行に限られた事業ではありません。お金を預けて自分のために運用してくれる銀行のように、情報を預けて自分のために運用してくれる存在として、「情報銀行」と言われていますが、様々な業界の企業が参入を検討しています。
「情報銀行」は、個人と企業の間に入ってくれる存在であると説明しましたが、この事業はデータの活用と安心・安全との両立のために政府で検討されてきたもので、実は日本独自のモデルなのです。
具体的な定義としては、「個人とのデータ活用に関する契約等に基づき、PDS等のシステムを活用して個人のデータを管理するとともに、個人の指示又は予め指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供する事業」とされています。(データ流通環境整備検討会 AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ 中間とりまとめ(2017)より)
これから起こることは?
今、パーソナルデータを扱っている企業の方あるいはマーケティングやデータ活用ビジネスに携わられている方は、情報銀行が社会実装された後の世界観において、企業がすべきことがどのように変わっていくのか、気になるところかと思います。そのあたりは、また次回以降でお話ししましょう。
※記事中の所属・役職名は取材当時のものです。
パーソナルデータ流通や情報銀行への理解をより深めたい方は、NTTデータでパーソナルデータ利活用分野を牽引する花谷昌弘さんのインタビュー記事もぜひご参考ください。
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