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挑戦者と語る

マイナンバー×金融の近未来!ポラリファイと語る本人確認・マイナンバーの将来像

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現在、政府・自治体・民間企業が一体となって、パーソナルデータの活用を推進しています。その中でもカギを握るとされているのが『マイナンバー』。あらゆる領域で活用が検討されていますが、金融の世界においてもその可能性は大きく、活用が期待されています。
今回はそんな「マイナンバー×金融」の未来について理解を深めるべく、革新的な認証技術で注目を集めるポラリファイ 代表取締役社長の和田さんを直撃。NTTデータでパーソナルデータ活用をリードする作田さんと山森さんとともに、最新トレンドも交えながらとことん語り合います!

本記事はNTTデータが運営する「API gallery」プレゼンツで2022年6月15日に開催したウェビナー「API gallery Meet UP ~ Vol.7 “マイナンバー×金融の近未来”」の内容を記事化したものです。
API galleryでは随時ウェビナーを開催中です!過去の企画、および今後の開催予定については以下のリンクをご覧下さい!

マイナンバーを取り巻く国内のトレンド!

青柳さん 昨今、マイナンバーカードの普及率も高まってきていますね。他方で、カードの使い方についてはまだまだよく知らないという方も多いかもしれません。活用のポイントは、カードに搭載された電子証明書によって安全に個人情報をやり取りができるという点で、この仕組みを活用してさまざまなサービスが広がっていくことが期待されています。金融業界でもマイナンバーカードの活用を検討する動きはありますか。
和田さん 2018年11月に、アンチマネーロンダリングや本人確認の強化などを目的に、犯罪収益移転防止法(※)が改正されたことにより、金融機関などにおける意識が高まった印象ですね。身元確認・本人認証サービスは法令対応としての必要性に加えて、各種サービスの入会手続きなどにおける利用者の利便性向上にも有益なため、ニーズが高まっています。
(※)犯罪収益移転防止法:2007年4月に一部施行、 2008年に全面施行された法律で、 金融機関等による本人確認、取引記録保存、疑わしい取引の届出等を義務づけるもの。マネーロンダリングを防止する、すなわち、犯罪に関わる資金の流れを食い止めることを目的とした法律。

山森さん アンチマネーロンダリングという話でいきますと、昨年8月に結果が公表されたFATF(※)による第4次対日審査で、日本はマネーロンダリングやテロ資金供与への対策について「継続的顧客管理、取引モニタリングが不十分」という指摘を受けました。その結果も受けて、金融機関でも厳密な顧客管理への意識がこれまで以上に高まってきていると感じますね。
(※)FATF:「Financial Action Task Force」の略で、マネーロンダリングやテロリストへの資金供給を防ぐ対策の基準をつくる国際組織。欧州20カ国をはじめ日本、米国、中国、韓国など多くの国・地域が参加し、各国の取り組みを相互審査している。
作田さん 前向きな用途にも関心が高まっていますよね。金融業界でもデジタルシフトが大きな課題となっている中、新しい価値の提供を通じた生活者の支援・課題解決が重要になってきています。従来の業務を単純に電子化するだけにとどまらず、お客様のパーソナライズや、異なる事業分野をまたぐ業際領域での連携など、新しいビジネスを創出するための土台になりうるツールとしても、認識されてきていると感じています。
青柳さん 皆さんのビジネスでもマイナンバーカードの活用を進められていますね。
和田さん ポラリファイは、指紋認証や顔認証といった生体認証による本人認証に強みを持っていますが、eKYC(※)への取り組みを推進する中で、マイナンバーカードの活用にも力を入れています。スマホアプリのみならず、ウェブブラウザでも利用を可能にするなど、ユーザーの負担を減らすための仕組みを構築しながらサービスを展開しているところです。
(※)eKYC:「electronic Know Your Customer」の略。インターネットやICチップなど電子的な方法で本人確認を完結させること。
作田さん NTTデータでは、パーソナルデータ流通プラットフォーム“mint(my information tracer)”を提供しています。このプラットフォームは企業間における生活者のパーソナルデータの安全なやりとりを実現しているのですが、マイナポータルとの連携が可能です。それによって、住民から行政への申請をオンラインで可能にしたり、逆に、行政から住民自身の情報を取得・照会したりすることもできます。

山森さん 同じくNTTデータでは、マイナンバーカードを読み取ることで本人確認とマイナンバーの収集ができる“マイナPocket”というサービスも展開しています。
これはマイナンバーカードのICチップを利用してデジタルに本人確認を行ったり、マイナンバーを取得できるサービスで、銀行や保険会社などにおけるビジネス活用に期待しています。また、特定の人の現況や住所といった登録情報の変更有無を確認できる現況確認/異動検知サービスも利用でき、これは引越しや結婚、相続といったライフイベントを検知できるので、顧客管理や営業活動への活用が考えられます。
青柳さん 民間企業のみならず、今まさにデジタル庁でもさまざまな議論・検討がなされていると聞きました。
作田さん 例えば、政府のデジタルガバメント実行計画における重要案件として、「引越しワンストップサービス」の検討がデジタル庁を中心に進められています。これは、引越し時におけるさまざまな申請手続きを、ワンストップで可能とするためのものです。
オンラインで自治体へ申請が可能になることに加え、自治体に反映された住所などの情報を、金融機関や、電力会社といったライフライン企業に連携する仕組みです。引越し関連の手続きにおける利便性の向上が期待できますね。それ以外にも「死亡・相続ワンストップサービス」など、色々な活用方法が検討されています。
青柳さん 行政と民間企業が一体となって取り組むことで便利なサービスが次々と生まれそうですね。その実現にはしっかりとした本人確認が必須ですから、マイナンバーカードなどを活用した認証はとても重要だと感じました。

マイナンバーカードのUX。オンライン?オフライン?

青柳さん 昨今、UXというキーワードも浸透しつつあり、アプリなどオンラインでのUXに加えて、店頭などオフラインでのUXも重要とされてきています。今後、マイナンバーカードについては、オンラインとオフライン、どちらでの活用シーンが増えてくるのでしょうか。
和田さん 両者ともに増えてくると予想しています。当社は当初、非対面でのeKYCが中心になると想定していましたが、対面で使いたいというニーズも多く寄せられています。例えば、銀行などの窓口職員の業務において、マイナンバーカードなどの本人確認書類の提示を受け、写真と照らし合わせても、同一人物であると確信できないケースもあると思います。容貌は変化することもありますから。
対面でもeKYCを利用できれば、そのようなシーンでも問題なく本人確認できます。非対面/対面を問わず、人の目ではなく、システム的に本人確認を実施するケースは今後増えてくると思います。
青柳さん 銀行の窓口などでも実際にそのようなニーズがあるのですね。
海外では、運転免許証などのプラスチックカードの情報をスマホに搭載してさまざまな認証を可能にしている事例もあると聞いていますが、日本ではこのような取組みは進んでいるのでしょうか。
山森さん 現在、JPKI(※)の電子証明書をスマホに搭載する取り組みが進められていて、来年3月にはandroid搭載のスマホで使用できるようになる予定です。それにより、生体認証などと組み合わさって本人確認がより安易となりますし、カードが携帯不要となればユースケースもより広がっていくと思うので、期待しています。
(※)JPKI:“Japanese Public Key Infrastructure“の略で、公的個人認証サービスを指す。インターネットを通じて申請や届出といった行政手続などやインターネットのウェブサイトにログインを行う際に、他人による「なりすまし」やデータの改ざんを防ぐために用いられる本人確認の手段。

本人確認やマイナンバーカードを利用したビジネスの未来は?

青柳さん マイナンバーカードの普及率が伸びてきている一方で、多くの方が運転免許証やパスポートを身分証明書として利用している印象もあります。本人確認書類におけるマイナンバーカードの位置付けは今後どうなっていくのでしょうか。

和田さん 将来的には、マイナンバーカードが健康保険証の役割も兼ねたり、また、おそらく運転免許証の役割も兼ねたりしていく可能性があると思います。そうなると、マイナンバーカード1つで色々なことができるようになりますし、スマホに搭載されるようになれば、プラスチックカードを持つ必要もなくなるという世界が広がっていく期待もあります。
マイナンバーカードは、普及率も伸びていますし、未成年でも作成可能なため、今後は本人確認手段の中心になると予想しています。というのも、現在本人確認資料として最もメジャーなのは運転免許証ですが、若者中心に運転免許証を持たない人も増えてきていますよね。また、パスポートについては、昨年2月に形式が変わり住所記入欄がなくなったため、本人確認書類としては認めないという運用をする金融機関も増えてきているのです。
青柳さん 金融機関では、金融×行政機関や事業会社というかたちで、クロスインダストリーのビジネスを考えている方も多いと思います。本人確認やマイナンバーを利用したビジネスという観点で、今後盛り上がりそうな活用方法や、注目している点などはありますか。
和田さん eKYCに加えてその先の認証までやっていくことが重要だと思っています。非対面の取引がこれからも増加していくと予想されています。メタバースのように仮想空間での取引も広がる可能性があり、その都度本人確認するのは大変なので、顔認証などの生体認証でスムーズに本人認証を行うことができれば、便利な世界になるのではないでしょうか。
作田さん やはり、業際領域はこれから広がっていくと予想していて、分野横断的なサービスが今後たくさん出てくると思っています。本人認証が対面でも非対面でも簡易にできるようになると、例えば、可能性としては、コンビニでローン審査してお金を借りられるようになったり、郵便局で自治体関係の申請ができるようになったりするかもしれませんね。
今まではある組織の中で閉じて完結していたサービスが、組織や分野をまたがって提供されることで利便性が向上するということです。さまざまなハードルもあると思いますが、それを乗り越えることができれば、社会に提供できるサービスはどんどん広がっていくという期待感があります。
山森さん eKYCサービスは、非対面での本人確認のきっかけ・入口の1つであり、これをベースにして、その先で色々な情報連携が実現できると思っています。現在デジタル庁が中心となって、マイナポータルAPIの活用を促進する取り組みがなされていますが、これにより、行政が保有する情報を、民間企業が活用してビジネスを広げていくことができますね。
銀行であれば、雇用保険情報からお客様の勤務先などを取得して与信に活用したり、保険会社であれば、医療情報から健診結果などを取得して保険査定に活用するなど、ビジネスの拡大が期待できます。
青柳さん マイナンバーカードの有効期限は10年なので、将来的にはカード更新が必要になります。更新手続きもオンライン化するなど、利用者の負担も減らしていけるといいですよね。
和田さん そうですね。最初のカード作成・発行時と、電子証明書の更新時、さらにはカード期限切れによる更新時、それぞれ役所を訪れて手続きしないといけないとなると不便ですし、カード作成・更新のモチベーション低下に繋がってしまいます。一方で「多少面倒でも便利だから作ってみたい」と思ってもらえるようなサービスを作っていくことも大切ですね。

マイナンバーカード・本人確認を利用したより良い世界の実現に向けて

青柳さん 本日はトレンドやさまざまなユースケース、将来像について教えていただきありがとうございました。最後に、皆さんの事業の今後の展望などについてお聞きしたいです。

和田さん これまでeKYCは、口座開設時などサービス開始時の本人確認として利用されることが多く、1ユーザーごとに一度のみというかたちが中心でした。ところが、FATF第4次対日審査の結果などの影響もあり、継続的顧客管理の必要性は高まってきています。最近は、何らか顧客の登録情報が変更された際などにも、再度eKYCが必要という論調になってきて、当社としてもすでにこういったニーズに対応しています。
このように、サービス開始時だけでなく、今後は、それ以降の継続的顧客管理といった面でもサービスを拡充してくことで、お客様の利便性を向上させていきたいと思っています。
作田さん やはり新型コロナの影響もあり、非対面での行動導線がいよいよ現実になってきました。オンラインで色々なサービスを提供するのが当たり前になった今日では、安心安全に情報を処理する必要があります。また、マイナポータルと連携して情報を活用するという意味でも、“mint”のソリューションが活躍できると思っています。マイナポータル上の情報を活用することによりユーザーに利便性を提供したり、あるいは逆にユーザーの情報を取得することなどに興味があれば、ぜひ私たちにお声がけください。
山森さん 私たちのチームは、オンラインファーストというキーワードを掲げて、色々なサービスを検討しています。本日の議論にもありましたが、eKYCは、色々なサービス連携に向けた入口になり得ると思っています。“マイナPocket”を入口として、さまざまなサービスを繋げることで、ビジネスに広がりを創っていって、生活者が便利だと感じられるような世界を実現していきたいと思っています。
<プロフィール>

和田 友宏 さん
株式会社ポラリファイ 代表取締役社長 兼 三井住友フィナンシャルグループ デジタル戦略部部長
1989年に三井住友銀行に入行後、主として大規模法人向けのビジネスに携わり、企業再建やファイナンス組成、資本政策アドバイスなどに従事。法人営業部長や支店長を歴任した後、トランザクションビジネスの企画業務を経験。その後、2017年に三井住友銀行グループが設立したFintech企業であるポラリファイに代表取締役社長として就任。設立当初から現在に至るまで、革新的な本人認証サービスの企画開発・普及を牽引している。
ポラリファイ(https://www.polarify.co.jp/

作田 豊 さん
株式会社NTTデータ ソーシャルイノベーション事業本部 スマートシティ推進室 課長
インフラエンジニア・PMとして地方自治体、省庁、ASEAN等の複数の公共システムの構築を実施。同社採用において、自ら考案した採用マーケティング手法を実践し、学生向け某採用ランキングで総合1位を獲得。パーソナルデータ流通基盤(“mint”)の商品企画・開発を担当し、マイナンバーを活用した官民連携を推進中。
mint(https://societyos.nttdata.com/mint/

山森 泰 さん
株式会社NTTデータ 第一金融事業本部 保険ITサービス事業部 サービス企画室 課長代理
NTTデータ入社後、政府系金融機関の営業として、大規模システムの提案に従事。2020年に保険ITサービス事業部に異動後、保険会社向けのサービスの企画提案を担当。2021年10月にJPKIを活用した本人確認・マイナンバー収集サービス「マイナPocket®」を立ち上げ、保険、銀行、クレジットカード等の業界に向けた提案を行っている。
マイナPocket®(https://api-gallery.com/archives/mainapocket/

青柳 雄一 さん
株式会社NTTデータ バンキング統括本部 OSA推進室 部長(※当時)
入社以来、数多くの金融系新規サービス立ち上げに従事。2015年からはオープンイノベーション事業にも携わり、FinTechへの取組みを通じて、複数の金融機関のデジタル変革活動を推進。NTTデータのデジタル組織立ち上げ、デジタル人財戦略策定/育成施策も実行。現在は当社金融分野の新デジタル戦略、外部連携戦略策定・実行にも従事。2021年10月にリリースした金融APIマーケットプレイス「API gallery」の推進をリード。
API Gallery(https://api-gallery.com/
※本記事の内容は、執筆者および協力いただいた方が所属する会社・団体の意見を代表するものではありません。
※記事中の所属・役職名は取材当時のものです。
※感染防止対策を講じた上で取材を行っています。

新卒で銀行の業界団体に入職。金融機関や他業界団体等との折衝・調整に携わり、具体的には資金決済インフラや為替取引の制度運営に関する業務に従事した後、金利指標改革や市場規制の案件に関する業務等を幅広く経験。
その過程で、金融分野におけるNTTデータの影響力の大きさを実感したこと、社会を支える重要インフラを提供している点に魅力を感じたこと等をきっかけに、NTTデータへ中途入社。
現在は、金融業界のトレンドを、IT技術やビジネス、社会課題といった様々な切り口で調査・整理し発信する「金融版NTT DATA Technology Foresight」の取組み等に携わる。

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