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金融が変われば、社会も変わる!

挑戦者と語る

グリーンの金融機関と語る グリーンの未来

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昨今、環境に配慮した企業経営への要請が一段と高まり、企業活動において「グリーン」「サステナビリティ」といった言葉を耳にする機会が増えました。日本の金融業界においてもさまざまな活動が推し進められていますが、挑戦はまだ始まったばかり。
環境分野における金融機関の現在地、そして未来の姿とは。金融機関で環境分野の取り組みをリードする三井住友フィナンシャルグループの末廣孝信さんと農林中央金庫の野田治男さんのお二方に、デジタルによるアプローチで環境分野の課題解決に挑むNTTデータの山本英生さんがお話を伺いました。

金融機関とグリーンを取り巻く現状

山本さん 2022年4月にサステナビリティ本部を立ち上げるなど、SMBCグループではこの分野に積極的に取り組まれています。

末廣さん SMBCグループでは急速に拡大するお客様のニーズに対応できるように、グループCSuO(Chief Sustainability Officer)のもとで推進体制の強化を図ってきました。また、グループ全体で『GREEN×GLOBE 2030』という10年計画を策定し、10年のサステナKPIを設定するなど、経営と一体となって各種活動を推進しています。

私はその中で自社とお客様双方のサステナビリティを推進する役割を担っています。昨年度は400社を超える取引先の企業と面談して経営課題などをヒアリングしながら、何に取り組んでいかなければならないのかをお客様と一緒になって考えてきました。経営企画部CSR室での担当時代も含めると約12年、サステナビリティに関わる部門に在籍しており、銀行員としては珍しいキャリアかもしれませんね。

山本さん SMBCグループでは、実際にどのような取り組みを始めているのでしょうか。

末廣さん はじめにサステナビリティの定義に取り掛かかりました。そして私たちは、サステナビリティとは「現在の世代の誰もが経済的繁栄と幸福を享受できる社会を創り、将来の世代にその社会を受け渡すこと」であると定義したんです。

約400年の歴史がある「三井」と「住友」はずっと昔からサステナビリティに取り組んできた企業グループです。現在のSMBCグループもその精神を受け継いでいますから、サステナビリティを重視することは私たちにとって「パーパス」であるとも言えます。

山本さん 農林中央金庫さんも、グリーンやサステナビリティとは非常に密接な関係にあるのではないでしょうか。

野田さん サステナビリティは我々にとって非常に大きなテーマです。農林中央金庫は、農業者、漁業者、林業者の方々を会員とする協同組合組織の金融機関です。農林水産業は気候変動に影響を受けますし、GHG(※1)排出で負の影響も与えています。また、自然への依存が大きい産業として生物多様性の喪失も避けて通れない問題です。

農林中央金庫では、2050年のあるべき姿からバックキャストでパーパスや中長期目標を設定しました。いかにして農林水産業を持続可能な産業にしていくか、これは農林中央金庫の職員のDNAとして向き合う不可避の課題です。サステナビリティへの取り組みは、役職員全員で対話をしながら進めています。

(※1)GHG:温室効果ガス(Greenhouse Gas)」の略。大気中の熱を吸収して地表付近の気温を上げ、地球温暖化をもたらすとされる性質を持つガスの総称。二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素、フロンガスなどがある。
【参考】環境庁HP


山本さん まさに切っても切り離せないわけですね。

野田さん そうですね。農林中央金庫の「パーパス」では「いのち」をとても大事にしています。人間が生きるためには動植物から「いのち」をいただくことになります。ですから、この「いのち」の連鎖をいかに持続可能にできるかはとても重要ですし、それを育む地球環境も持続可能でなくてはなりません。

農林中央金庫でも中長期目標を設定していますが、農林水産業者をはじめとしたステークホルダーの方々と取り組みを進めています。二酸化炭素の吸収などの直接的な活動だけでなく、農林水産業者の所得増加や地域活性化にも取り組んでいます。産業を持続可能にするためには、お金が回る地域経済を作ることも重要だからです。

山本さん お二方はすでにさまざまな取り組みを進めておられますが、活動を通じて「グリーン」「サステナビリティ」に対する世の中の変化を感じることはありますか。

末廣さん お客様のニーズが急速に高まっています。2年ほど前、ある上場企業のお客様とサステナビリティについてお話をしたときのことです。経営陣の方は「同業他社動向も見ながら徐々に取り組んでいく」とおっしゃっていたのですが、株主総会や投資家説明会などさまざまな場面で「遅れている」と指摘を受けたそうで、わずか1カ月後には急遽方針転換。そんなエピソードもあります。

環境問題のような大きなテーマは大企業から順に動くと思われがちですが、大企業と取引のある中小企業やスタートアップ企業にも、突然やらなければならない日が来るんです。ですから、サステナビリティはみんなが考えないといけないし、止まっていることができない問題だと思っています。

三井住友フィナンシャルグループ サステナブルソリューション部 兼 サステナビリティ企画部 部長 末廣 孝信さん

野田さん 私たちもお客様の関心が相当高まっていることを感じています。それと同時に、そのニーズ対して金融機関として何ができるのかは大きな課題でもあります。ファイナンスを提供してお客様の取り組みを後押ししていくことはもちろん、知見や非金融サービスなどの提供も含めた総合的な支援が求められていると認識しています。

グリーンへの挑戦と見えてきた課題

山本さん SMBCグループは、TCFD(※2)の提言に基づき、グローバル金融機関として世界で初めて気候変動シナリオ分析による物理的リスクの想定リスク量を開示しました。他行に先駆けてさまざまな取り組みを進める背景は何でしょうか。

(※2)TCFD:金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォースの略称。2017年6月に年次の財務報告において、財務に影響のある気候関連情報の開示を推奨する報告書を公表している。
【参考】環境庁HP


末廣さん 私が勝手に思っているだけかもしれませんが、当社の社風によるところが大きいと思います。みんなが困っているなら自分たちがやってみようと。それに自分たちがやっていなければ、お客様に対しても説得力を持ってご提案することができませんし。TCFDの提言に基づく開示も非常に苦労しました。でもみんなが同じように苦労しても仕方ないですから、その定量化算定プロセスは全部開示しています。

野田さん サステナビリティの分野ではチャレンジ精神が必須なのではないかなと感じます。私たちもよく社内で「やらなかったことを後悔するのか、失敗したとしてもやったことを後悔するのか」といった会話をしています。以前であれば、新しくて、成功するかどうかよく分からないものはやらずにいる方が良いという発想にもなりがちでしたが、サステナビリティの分野はそういう世界ではないと。新しいことにチャレンジしていくべきだというムードに変わってきていますね。

山本さん 進めていくにあたって、農林中央金庫さんには、一般の銀行にはない特徴もあるのではないでしょうか。

野田さん 特徴の1つとしては、農林水産業分野での GHG排出の観点です。なぜなら、世界全体で見ると農業はGHG排出セクターでもあるからです(※3)。日本ではあまり規模は大きくないのですが、その事実を踏まえてどのようにビジネスをしていくのかを生産者の方々と考えていく必要があります。

(※3)農林水産省の資料によれば、農業・林業・その他土地利用部門からのGHG排出量は世界の排出量の約4分の1を占めると言われる。
【参考】農林水産省HP


一方で環境問題への対応はコストだという意識を持つ生産者の方も少なからずおり、なかなか難しい側面もあります。加えて、生産現場から食卓までを含めたフードシステム全体でもGHGの見える化はまだまだ進んでいません。プロセスに携わる方々のマインドチェンジを促しながら、フードシステム全体を効率的にしていくことが私たちの課題でもあります。

山本さん 金融の話だけではなく、農業・林業・漁業が抱える課題感も一緒に解決していかなければならないということですね。末廣さんは何か課題だと感じていらっしゃることはありますか。

末廣さん 1つは時間軸との戦いですね。日本はエネルギー需給など諸外国と状況が異なる点も多く、多排出企業が明日から急に脱炭素するのは無理な話です。そこで徐々に変えていくアプローチとして、例えばトランジション・ファイナンス(※4)という考え方もあります。他方でそうした進め方を認めない投資家も少なからず存在します。時間が限られる中、企業がステークホルダーとどう折り合いを付けていくかは大きな課題となりそうです。
     
(※4)トランジション・ファイナンス:気候変動への対策を検討している企業が、脱炭素社会の実現に向けて、長期的な戦略に則った温室効果ガス削減の取組を行っている場合にその取組を支援することを目的とした投融資の手法。
【参考】経済産業省HP

もう1つは何をどこまでやればいいのかという点です。サステナビリティへの取り組みの多くは明快な基準がないため、どこの企業も同じように悩んでいるのではないでしょうか。ただこの悩みについては、自社だけで悩まず、みんなで協力し合ってできるところから取り組んでいくという考え方で良いのではないかと思っています。

山本さん 農林水産業に携わる方々も同じような悩みを抱えていらっしゃるのでしょうか。

野田さん 生産者や地域の中小企業の方々には、サステナビリティというテーマ自体がまだ十分に浸透していないという面もあるかもしれません。なぜこの分野での対応が必要となっているのかをご理解いただき、手を打つことがビジネスの拡大、あるいは自分を守ることにもつながります。私たちも、そのためにどのようなお手伝いができるか、一緒になって考えていきたいですね。

農林中央金庫 総合企画部 サステナブル経営室長 野田 治男さん

山本さん 中小企業という観点では、三井住友銀行さんは、企業の温室効果ガス排出量の可視化クラウドサービス「Sustana(※5)」をお客様向けに提供されています。

(※5)Sustana:三井住友銀行が開発した排出量算定業務をDXするクラウドサービス。
【参考】三井住友銀行HP


末廣さん サプライチェーン上のGHG排出量も開示を求められていますから、中堅・中小企業でも大企業と取引があると対応しなければならないケースが増えています。日本企業の約9割は中堅・中小企業です。いままで算出したことも、考えたこともないという方でも簡単にGHGを見える化できないか、ということで「Sustana」を開発しました。排出量の見える化には高いコストがかかるという声も多かったため、導入しやすい費用感で提供しています。

グリーンはビジネスと両立できるのか?

山本さん 企業活動は慈善事業というわけにはいきませんので、環境への取り組みにおいては企業側も持続可能でなければなりません。私もIT企業側で実際に取り組んできて、ビジネスとグリーンというテーマの両立は簡単なことではないと感じています。金融機関のお立場としてはどう見ていますか。

野田さん 規制やサプライチェーン上の取引先からの要請などがあると動きは早いですが、そうでない場合はまだまだハードルが高いのが現状ではないでしょうか。社会全体の流れも変わってきていますから、これをどう後押ししていくかが、金融機関にとっても大事になってくると思います。

末廣さん 儲かるか儲からないかで言うとすぐには儲からないと思います。でも、私はサステナビリティの分野は「協創」が大事だと思っています。誰かひとりが儲けるのではなく、いいツールが開発できたらみんなで使っていく、という発想です。

お客様からもよく「儲からないし、株価にも影響ないでしょう」といったお声を耳にします。でも、実はサステナビリティへの取り組みは中長期的には業績・株価に正の相関関係を及ぼす、という研究成果も出てきています。サステナビリティは利益を大きく損なってまで取り組むものではありませんが、利益の一部を将来の改善に向けて投資していく。そういう考え方で取り組むべきなのかなと思います

山本さん 利益はなかなか出ないが着実に進めていかなければならない。そういった中で、デジタルは欠かせないツールとなるのではないかと感じています。グリーンやサステナビリティの分野におけるデジタルの活用について、どのようにお考えでしょうか。

末廣さん グリーンとデジタルはよく「×(かける)」で表されたりすることもありますが、私たちも大きな2本柱と位置付けています。環境分野への取り組みは未知の領域も多く、調査や算出に膨大な作業が発生します。それを手作業でやるととんでもない時間がかかりますので、デジタルの活用はとても有意義です。

私は算出作業に充てる時間を戦略立案にかけるべきだと考えています。大切なのは結果を踏まえてどう削減するか、どうリスクを回避するかです。デジタルはその時間をつくり出すことに大きく貢献してくれますので、いずれグリーンとデジタルは本当に「×(かける)」という世界観になっていくと思います。

野田さん 私もグリーンとデジタルはますます融合していくべきだと思います。2019年にJAグループが「AgVenture Lab(アグベンチャーラボ)」というイノベーションラボを立ち上げました。デジタルを駆使した新しい挑戦を農業分野でもどんどん仕掛けていこうと日々活動していますが、サステナビリティも重要なテーマとなっています。

山本さん NTTデータでも金融機関やそのほかの企業の方とビジネス共創のお話をする機会がありますが、グリーンやサステナビリティがテーマとして挙がるケースが増えています。三井住友銀行さんもラボをお持ちですが、グリーンでも活用されていますか。

末廣さん 私たちも渋谷と神戸に「hoops link」というイノベーション創発のための拠点を置いています。グリーンについては、例えば神戸市とも連携しながら、アイデア創発の場所を提供するのみならず、スタートアップ企業のさまざまな支援を含めて取り組んでいます。

キーワードは信頼 - 金融機関が向かう未来

山本さん 環境分野への取り組みにおいて、これから先、例えば2050年頃の未来を見据えた時に、金融機関はどのような方向に向かっていくのでしょうか。

末廣さん これからは、銀行が銀行でなくなるかもしれません。いまはまさに銀行のあり方を再考しなければならない局面なのではないでしょうか。悲観ではなく、逆にやるべきことがたくさんあると思っています。

何年後かには、銀行以外の企業が現在の銀行業務を代替しているかもしれません。ですが、銀行にはこれまで築いてきた「信用」を通じてさまざまなサービスを展開していく役割が残ると思うんです。デジタルを使ったサービスや、お客様同士のマッチング、そのための目利きなどもそうです。果たすべき役割はより一層多くなっていくと思います。

野田さん 私も金融機関の形は変わらざるを得ないのかなと思います。加えて、農林水産業を基盤としている金融機関の立場としては、2050年の農業がどうなっているのかも重要です。すでに農林水産業への就業者の年代別の人口構造が逆ピラミッドになっている中で、担い手不足の解消にどう向き合うかという問題を抱えています。

例えば、農地にソーラーパネルを設置して再エネに取り組む事業を推進していますが、これには農地が長く続いていくことが担保されていなければなりません。そもそもこの下の田んぼは誰が続けるのだろうか。そうした課題ともバランスを取っていくことが2050年に向けたテーマになってくると思います。

山本さん 末廣さんから「信用」という言葉がありましたが、近年のテクノロジートレンドでも信用がキーワードになっていると感じています。例えば、信用を担保するブロックチェーン技術、利用者の信用の上に成立するAI技術などです。「金融の信用」と「テクノロジーの信用」が融合するところにグリーンに取組むヒントがあるのかもしれませんね

NTTデータ 金融イノベーション本部 ビジネスデザイン室 イノベーションリーダーシップ統括部 部長 山本 英生さん

末廣さん 長年培ってきたお客様との関係から「三井住友銀行グループだから良いんじゃないか」と言ってもらえることも1つの大きな信用です。これは金融取引に限らず、サステナビリティの世界でも同じだと思っています。例えばグリーンウォッシュ(※6)への対応もそうです。誰が何にもとづいて算出したデータなのか、その活動はどのくらいGHG削減に貢献するのか、などを、金融機関が信用をベースに保証することが対応の1つとなり、防止できるのではないかと考えています。

(※6)グリーンウォッシュ:greenとwhitewash(ごまかし)を組み合わせた造語。実態を伴っていないのにもかかわらず、環境配慮をしているかのように見せかけること。

山本さん お二方にとって、2050年の理想的な社会とはどのような姿でしょうか。

末廣さん 子孫が普通に生活できる世界を受け継いでいけたらいいですね。作家の倉本聰先生が、ゴルフ場跡地を元の森に還す「富良野自然塾」というプロジェクトを主宰しているのですが、この自然塾にある石碑には「地球は子孫から借りているもの」という言葉が刻まれています。これがまさに2050年のあるべき姿かなと思っています。平凡かもしれませんが、いまと同じように、またいま以上に地球上の自然に触れあいながら子孫が普通の生活ができる姿が理想と考えます。48億年という長い歴史対比、産業革命以降ここ100年の極めて短い期間で後戻りできないくらいのダメージを受けてきた地球の環境を考えると、子孫にちゃんと返せるかどうかの、瀬戸際に立たされているのではないでしょうか。

野田さん 次世代の子供たちが活き活きと暮らせて、おいしい食べ物が不自由なく手に入るような世界がそのまま残っている。そうした世界をしっかりと引き継いでいきたいですね。次世代の人々は、その時代に応じた価値観を持っているのだろうと思います。そんな新しい世代と新しい価値観に世界がしっかりアジャストできるように、未来を見据えていま私たちができること・やるべきことを結び付けていけたらいいなと思います

山本さん ある意味では、平凡過ぎるがゆえに危機感を持ちにくい分野でもあるのかもしれませんね。だからこそ、みなが同じ方向を向いて進んでいかないと達成が難しい。当社のようなIT企業も金融機関の方々と一緒になって、何ができるのかをより深く考えていかなければなりません。

末廣さん この分野は総論として綺麗な話はたくさんありますが、企業は実務を動かしていかなければなりません。さまざまな領域でもっと省力化して戦略立案に力を割いていく。そのためにはデジタルは欠かせませんし、金融と補い合える部分も多いはずです。サステナビリティを推し進めるのは色々な企業との連合体だと思っていますので、IT業界の方々とも一緒になって取り組んでいきたいですね。

野田さん コ・ワークする分野はますます増えていくでしょうね。先日ある商社の方から、食品の原産地証明にデジタル技術を活用する事例を伺いました。デジタルでグローバルなネットワークを作ることで、どのプランテーションで生産されたのかが食卓でも分かるというものです。

デジタルによって、さまざまな社会活動が一層進化していくことは明らかです。持続可能な社会を実現するために、IT企業とも一緒になって、できることからどんどん早くやっていくべきだと思っています。

山本さん IT業界としては「作り方」を変える必要もありますね。この分野はみんなで考えて、すぐに作り、違ったら直す、といういわゆるアジャイル的なアプローチのもと、まさにコ・ワークしていくべき領域だと思います。最後に、同じようにグリーンに取り組んでいる方々にお伝えしたいことはありますか。

野田さん 農林水産業の課題は担い手の話だけではありません。温暖化で魚が取れなくなる、農作物が育たなくなる、森林も被害を受ける、など多岐にわたります。ネガティブな話ばかりしているようですが、これらを持続可能な産業に変える機会に直面しているとも言えます。サステナビリティを推し進めていく上では、このゲームチェンジをポジティブに捉える発想が大切です。

そしてそれは、農林中央金庫だけでも、JAグループだけでも、おそらく三井住友銀行さんだけでもできません。持続可能な社会をつくっていくためには、志を持った仲間と一緒に取り組んでいくことが非常に大事になるのかなと思います。

末廣さん いまの若い方々は、環境問題に対して関心が高く、想いのある方が多いと実感しています。この領域はまだはっきりとした道がなく、自分で切り拓くことができます。中長期的には絶対にやっていかなければならないテーマであって、さまざまな可能性が広がっていると思います。

想いを持って取り組んでいけば、さまざまな研究やアイデアが生まれ、どんどん解決に繋がっていくと信じています。すべての人にとってハッピーな世の中を作っていけるように、私たちもそういった方々を支援したいですし、ぜひ一緒になってやっていきたいですね。
〈プロフィール〉

末廣 孝信 さん
三井住友フィナンシャルグループ
サステナブルソリューション部 兼 サステナビリティ企画部 部長
三井住友銀行
サステナビリティ本部 サステナブルソリューション部 兼 サステナビリティ企画部 部長

一橋大学経済学部卒。1994年住友銀行入行。科学技術庁、内閣府への出向後、三井住友銀行人事部研修所グループ長などを経て、2011年より経営企画部CSR室。2018年に改組によりサステナビリティ推進室長。2020年よりホールセール統括部サステナブルビジネス推進室 部長。2022年より株式会社三井住友フィナンシャルグループ 兼三井住友銀行サステナビリティ本部サステナブルソリューション部兼サステナビリティ企画部 部長現職。

野田 治男 さん
農林中央金庫
総合企画部サステナブル経営室 サステナブル経営室長

慶應義塾大学経済学部卒。1994年農林中央金庫入庫。
京都、仙台、名古屋、那覇の支店勤務、為替ディーリング、システム要件定義、広報担当部署での本店勤務を経て2018年より総合企画部広報CSR企画室長。
2019年に組改よりサステナブル経営室長現職。

山本 英生 さん
NTTデータ
金融イノベーション本部 ビジネスデザイン室 イノベーションリーダーシップ統括部 部長

慶應義塾大学商学部卒。1996年NTTデータ通信(現NTTデータ)入社。システム開発を経験した後、金融領域のITグランドデザイン策定や、量子コンピュータ、AI、RPA、データマネジメントなどの先進技術領域のコンサルティングや情報発信に従事。データ活用による金融サービスの高度化を指す「センシングファイナンス™」を提唱し、日本経済新聞社と金融庁が共催する「FIN/SUM」をはじめ、セミナー・講演の実績多数。

※本記事の内容は、執筆者および協力いただいた方が所属する会社・団体の意見を代表するものではありません。
※記事中の所属・役職名は取材当時のものです。
※感染防止対策を講じた上で取材を行っています。

新卒で都市銀行に入行し、個人向けコンサルティング業務に従事したのち、ネット専業銀行に転職。決済ビジネスを中心に、新規サービス企画や他企業との提携拡大、プロモーションなどを幅広く経験。その後、消費者嗜好や規制緩和などの環境変化を体感する中で、業界を超えたオープンな金融の仕組み作りに関心を抱き、NTTデータへ。
現在は金融業界のさらなるTransformationへ貢献すべく「金融を通じて世の中をより良くする」を志に、金融×デジタルを切り口としたトレンド調査や情報発信などに取り組む。CFP®・1級ファイナンシャルプランニング技能士として金融教育にも興味あり。

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