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銀行は生き残れるのか - 識者と語るデジタルバンクの可能性

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低金利を背景とした利ザヤの縮小、規制緩和による競争の激化などを背景にビジネスモデルの変革を迫られる銀行業界。メタバースの台頭など、テクノロジーを起点とした新たな局面も迎えるなか、銀行はこれからどうなるのか。『金融DX、銀行は生き残れるのか』の著者であり、銀行員としての経歴も持つ静岡大学情報学部教授の遠藤正之さんと、デジタルを武器に金融サービスの革新に挑むNTTデータの山本英生さんが、昨今注目を集めるデジタルバンクをテーマに語り合いました。

銀行は生き残れるのか - 銀行が直面する大きな変化

── 遠藤さんは大学で教鞭をとる傍ら、著書『金融DX、銀行は生き残れるのか』を執筆されました。この度の出版にはどのような背景があったのでしょうか。

遠藤さん きっかけは3つあります。まずはフィンテックを取り巻く情勢の変化です。私は大学教員就任以降、フィンテックを研究してきました。当初は非常に注目されていたフィンテックも、徐々に成功している企業とそうでない企業とで、明暗が分かれてきました。その状況を一度総括してみたいと思ったんです。

2つ目は、銀行業界に大きな変化が起きていることです。そして銀行業界で働く方々に、この現状について知ってほしいと思いました。専門書ではなく新書の形式を選んだ理由にもつながるのですが、とにかく気軽に手に取って読んで、考えてもらいたい、そういう思いがありました。

3つ目は金融機関のシステム障害の影響の大きさです。各種メディアでも報道されたことで金融ITに対する世間の関心がこれまで以上に高まっていると感じました。私は新聞などにもコメントを寄稿していましたので、自身の考えをまとめることで、少しでもそうした世間のニーズに応えられればと思いました。

── 「銀行は生き残れるのか」というタイトルはインパクトがありますね。

遠藤さん 当初は「生き残る銀行と生き残らない銀行」というアイデアもあったのですが、 いまは個別行がどうこうという状況ではありません。銀行業界自体が収益モデルを変えなければならない時代が来ているので、より大きな視点から捉えていきたいと考えたんです。

山本さん 私も書店でタイトルを見て、思わず手に取ってしまいました。遠藤さんはもともと三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行され、銀行員としてのご経歴も長いと伺っています。経験があるとはいえ、出版には苦労もあったのではないですか。

遠藤さん そうですね。より多くの方に伝わるように、随所に図表を組み込むなど、分かりやすさには特にこだわりました。インターネット専業銀行の黒字化時期や、銀行同士の顧客構成の比較など、散在する情報を整理するのは苦労しました。これらをまとめた情報はなかなかなく、本書のユニークな点だと思います。

── 著書にもある通り、社会環境が激変するなかで銀行は苦しい状況にあると言われます。遠藤さん自身も銀行に勤めていたご経歴がおありですが、状況をどのように見ていらっしゃいますか。

静岡大学情報学部教授 遠藤正之さん

遠藤さん 大きな変化に直面していると思います。多くの銀行が顧客の来店を減らす方向にシフトし、行内でも残業が許されない環境になってきていると聞きます。コストに対する意識が相当高まっているのです。

これまで、銀行はユニバーサルサービスとして見られることも多かったと思います。つまり、誰もが等しく使える公共サービスに近い存在です。銀行に行けば事務処理を完璧に、しかも無料でやってくれるのが当たり前。そういう感覚があったんです。でもいまは、それでは成り立たなくなってきたわけです。

低金利で利ザヤが取れない。しかも、堅実な商売を貫いてきたがゆえに皆が同じマーケットを狙うので、競争が激化する。だから、これからは新たな顧客の開拓が必要なんです。リスクを取ってベンチャー企業の支援に積極的に乗り出すとか、従来とは別のビジネスモデルで稼ぐ仕組みを作るといったことです。これがまさにいま、銀行が置かれている状況なのかなと思います。

山本さん 資金需要の減退という日本経済の構造的な問題も、そうした状況に拍車をかけていますよね。貸出先がたくさんあった時代は、銀行がお金を集めて配分する構造が成り立っていました。借りる側にとっては、どこから借りても大差がなく、金利が低い銀行を選べば良いようなシンプルな世界です。

構造的な問題は銀行だけでどうにかできるものでもありませんが、変化に合わせてビジネスモデルを変えていく必要はあります。でも、多くの銀行がまだ変え切れていない、いまはそういう局面にあるのかなと。

デジタルバンクは生き残りの一手となるか

デジタルバンクは競争時代に

── そうした変化のなかで、最近では、地方銀行などの伝統的な銀行が「デジタルバンク」を設立する動きが起こっています。

遠藤さん 最近では、ふくおかフィナンシャルグループ傘下の「みんなの銀行」と、東京きらぼしフィナンシャルグループ傘下の「UI銀行」がサービスを開始しています。

地方銀行がデジタルバンクに参入する背景には、顧客接点の拡大という課題感もあったのではないかと考えています。それを後押ししたのが技術の進展で、いまや誰もがスマホを持っているような時代です。時間や場所に縛られずに銀行にアクセスしてもらうことができるのは大きいですね。

また、特に地方銀行の場合、低金利に加えて人口減少にも直面しています。みんなの銀行やUI銀行が拠点とする福岡や東京は人口が多い地域です。地方銀行全体で見れば、同じ地域で同じビジネスを続けることは、都市銀行などに比べて大きなリスクとなります。それに先手を打つ狙いもあるのではないでしょうか。

もちろん、銀行法の改正によって銀行の業務範囲規制が緩和され、創意工夫ができるようになったことや、環境重視の経営が求められるようになったことも、デジタル化を後押しする重要なファクターになっているでしょう。

── 地方銀行がデジタルバンクを設立する動きについて、山本さんはどのようにお考えですか。

山本さん 技術面から見ると、品揃えがようやく揃ってきたことが背景にあるのではないかと思います。デジタルバンクに必要な機能が一定レベルの品質で実現でき、信頼性に対するコンセンサスも形成されてきているということです。

例えば、デジタルで本人確認を行う仕組みです。昔はアイデアがあってもデバイスの性能面で実用化が難しかった。それがスマホの普及によって大きく変わったわけです。ほかにもさまざまな技術要素が集まって束になり、スマホのアプリとして組み込めるようになりました。従来のインターネットバンキングで試行錯誤を繰り返して得た知見が、最新のデジタル技術で再構成された結果と言うこともできるかもしれません。

日本では先進的な技術を使ったインターネット専業銀行がすでに存在しています。ただ、そのほとんどが東京発で、もともとITを得意分野とする企業が参画しているケースも多いですよね。最近設立されたデジタルバンクは、地方発というところに大きなポイントがあると思っています。まさに技術そのもののハードルが下がっている証左ではないかなと。

NTTデータ 金融イノベーション本部 ビジネスデザイン室 イノベーションリーダーシップ統括部長 山本英生さん

── いまのお話にありましたように、日本には以前からインターネット専業銀行が存在しています。新たに登場したデジタルバンクはどこに新規性があるのでしょうか。

遠藤さん 最近設立されたデジタルバンクを「日本初」と呼ぶのは、少し言い過ぎかなとも思うのですが、初の部分も結構あるんです。前提として、本人確認も含めて口座開設で一切郵送を行わず、スマホで完結する。そういう面では本格的デジタルバンクであることは間違いありません。

みんなの銀行はターゲットをミレニアル世代に絞っている点が新しいと思います。収益面で考えると、銀行にとって30代以下のお客様は従来あまり積極的に狙ってこなかったゾーンなんです。確かに特定地域で30代以下に絞ったら収益は少ないかもしれません。でも、日本全国で見ればボリュームが出せるわけです。

── UI銀行も同様でしょうか。

遠藤さん まったく違っていて、それが面白いところです。みんなの銀行は地域に縛られずに全国をターゲットにしています。一方のUI銀行は、きらぼし銀行を補完するアプローチを取っているんです。

きらぼし銀行の取引のうち、預金などのシンプルな取引はUI銀行にシフトさせ、きらぼし銀行はコンサルティングなどのより複雑で高度な取引に徹するという発想を持っているように思います。実際、UI銀行の顧客層は40代以上の方の割合が多く、これまできらぼし銀行で取引をしていた顧客がシフトしていることが窺えます。

デジタルが進展しても非対面だけで顧客満足を得るのは難しく、対面のチャネルも必要になると考えています。ただ、その頻度は多くない。だから、普段は非対面で十分で、特別なイベントが起きたときだけ対面チャンネルが使えると安心なんです。UI銀行はそうしたデジタルとリアルの融合を感じさせてくれる点で、すごく面白いですね。

コンセプトメイキングをあなどるな

── 確かに、従来のインターネットバンキングよりも踏み込んだアプローチですね。

遠藤さん そうですね。さきほど新しいデジタルバンクについて「日本初」は言い過ぎかもしれないと言いましたが、キャッチフレーズとしては大事なんですよね。体感してもらうためにはまずは口座を作って触ってもらわないと始まりません。

山本さん 打ち出し方は確かに大切ですね。どちらもスマホセントリックな設計やデザインなど、UI/UXは工夫されていると思いますが、他方で従来のインターネットバンキングの延長にあるスマホアプリなどでも技術的には同じことができるわけです。でも、そのアプローチでデジタルバンクだと話題になることは少ない。

新たなコンセプトとターゲットを掲げて銀行を設立するところまでしないと、消費者はなかなかついてこないのだと感じますね。あおぞら銀行は「Brilliant60s(輝ける60代)」をターゲットにアクティブシニア向けのサービスを展開しています。コンセプトとして「いつまでもアクティブに生きる輝ける60代を応援する資産運用相談の専門銀行です」というコピーを掲げており、打ち出し方としては面白いなと思っています。

この例を見ても大義を掲げて別ブランドを作ることの重要性を感じますね。逆に言うと、人口の少ない地域に拠点を置く地方銀行であっても、コンセプトメイキングがうまくできれば、全国から顧客を集めることができる。まさにインターネットの草創期に言われていたようなことを、ようやく実現できる世界になってきたのかなと。

── コンセプトメイキングとデジタルによって地方銀行の可能性は広がりそうですね。一方で利用者の視点に立つと、既存のインターネット専業銀行もそれぞれコンセプトを掲げて開業し、すでにかなりの顧客基盤を築いてきています。

遠藤さん インターネット専業銀行の一番の強みはやはり低コストです。店舗を持たずに本部にリソースを集約することで優位性を築いています。預貸ビジネスでも、低金利下でありながらメガバンクより利ザヤを多く取れている傾向にあります。

インターネット専業銀行のビジネスモデルは非常に先進的で、いまの情勢下でいよいよ真価を発揮しつつあるなと感じます。ただ、同じインターネット専業銀行でも差がつき始めており、こうした銀行間でも競争が激化して明暗が分かれつつあることが窺えます。

── 新設されたデジタルバンクは、低コストという武器を持つインターネット専業銀行に対してどこで勝負していくのでしょうか。

遠藤さん まず、インターネット専業銀行では住信SBIネット銀行と楽天銀行が、残高や口座数で見ると抜きん出ています。証券会社との連携と低コストの住宅ローンが奏功しているのではないかと推測します。住宅ローンに関しては、住信SBIネット銀行は対面チャネルも整備しており、このあたりに勝負のポイントがあると考えています。

おそらくデジタルバンク単体でビジネスを大きくするのは難しくて、こうした他業種との連携や、リアルとデジタルの上手な融合が重要になってくるのかなと思います。そういった点でUI銀行には面白さを感じますし、きらぼし銀行が築いてきた顧客基盤を持っていますから、既存のインターネット専業銀行と近い事業領域でありながら、戦える可能性はあると思います。

他方でみんなの銀行は、まったく違う領域をねらっているのではないかと考えています。尖ったシステムを魅力として、他の銀行にシステムを提供するビジネスです。そうだとすると、みんなの銀行はいままでの発想では捉えられません。システムで儲けるという観点では、ひょっとしたら銀行ではなくIT企業の競合になるかもしれません。

山本さん 技術的には、みんなの銀行はGoogle Cloudを使っていると聞きます。Google Cloudは伸びしろが大きいサービスだと言われていて、エンジニア目線で見ると面白さを感じる方も多いのではないかと思います。それだけ優秀なエンジニアが集まる可能性があるということです。その意味では、人材獲得のような領域でもIT企業と競合することが出てくるかもしれませんね。

遠藤さん デジタルバンクの成否を語る上では収益化も1つの観点ですよね。ただ、なぜ収益化しなければならないかにも論点があると考えています。私は親会社が儲かっているなら、傘下のデジタルバンクはある意味で広告塔であってもいいと思うんです。でも、実際はそうは割り切れない。

銀行免許の取得に際して当局から3年以内の黒字化を期待されているためです。低コストで運営しているインターネット専業銀行でさえ、黒字化には多くの銀行が5期以上要している現実があります。規制も含めた社会全体のスタンスとして、もう少し長い目で見ていくことが必要なのではないかなと思っています。

金脈はどこに? 法人ビジネスとメタバースを考える

── 一方で規制緩和が進んでいる側面もあり、銀行以外の企業が従前の銀行業務を提供する場面も増えました。そのような流れのなかで、将来的に銀行業界はどのような姿になっていくと思いますか。

山本さん 私は法人向けのビジネスがどうなっていくのかにも興味を持っています。デジタル化はリテール分野が先行している印象ですが、法人分野でも新しい動きが出てくるのではないかと考えています。

例えば、法人企業のあいだではサプライチェーンのデジタル化が話題になることも多く、それが実現すると当然そこにファイナンスのニーズも出てくるわけです。銀行業界への異業種参入が相次ぐなかで、BtoBの領域がまだ陰に隠れているような気がすごくしています。次はまさにそこなのかなと。

遠藤さん 面白いですね。法人向けのビジネスをデジタルで高度化するためには、まずデータ連携が肝になるのではないかと思います。銀行店舗でもAI-OCRなどの技術が普及していますが、そもそも決算書も請求書もデータでそのままやり取りできるプラットフォームがあればいいですよね。

企業間の取引も絡んできますので、そういった領域の改革は銀行だけではなかなか難しく、デジタル庁などの政府の動向にも注目しています。産業横断で変えていくにはやはりリーダーシップが必要ですから。

当然、それと連動して金融機関自体がイノベーティブな動きをしていくことも必要です。例えば、北國銀行は法人インターネットバンキングの基本手数料無料化や、取引先企業のデジタル化を後押しするファンドの組成などを通じて、法人取引のデジタル化に力を入れていると聞きます。

店舗を減らす分、デジタル化やキャッシュレスをきちんと進めて顧客の利便性の向上に還元していく、非常にいいモデルなのかなと思います。

山本さん データ連携はおっしゃる通りですね。私も「センシングファイナンス™」(※)という概念を提唱していますが、多種多様なデータを活用していくことは金融サービスの高度化に欠かせないと考えています。

(※)センシングファイナンス:金融機関が今まで利用してこなかったデータを取り込むことで、新しいサービスを生み出したり、既存サービスを高度化したりすることを指すNTTデータの造語。
遠藤さん まさにそうですね。一方で、企業の視点から見ると課題もあります。会計ソフトなどは複数の金融取引データを連携させることで利便性という価値を生んでいますが、サービス提供者を銀行に置き換えるとどうでしょうか。

他行の取引データを別の銀行に渡すのは心理的にも抵抗があることです。データを渡してでも使いたいと思わせるような魅力ある商品・サービスを作り上げていくことが大切ですね。

── 遠藤さんは、銀行業界のこれからについてどのように考えていますか。

遠藤さん まず、銀行の店舗は減ると思います。完全になくすことは難しいし、顧客接点が減るというリスクがありますので、ビルの2階以上に入居するいわゆる空中店舗化や小規模化などでコストを下げながら縮小していくでしょう。

あわせて、リアルとデジタルの組み合わせがより進むと思います。来店しないと説明できない、訪問しないと説明できないという状態はコストがかかりすぎますので、立ち行かなくなります。ある程度の情報はすべてネットで配信し、簡単な手続きはどんどんネット完結できるようになっていくはずです。

ただし、それが顧客にとって良いかという観点が重要です。例えば、一方的な情報提供ってとても煩わしいですよね。とにかく何でもいいから店頭に来る客を減らそうというムードも顧客の立場からするとちょっと気に入りません。

顧客視点で楽しいとか、嫌なことがないのがポイントですよね。顧客が見たい情報だけを見られるようなデジタルの活用方法が出てくると面白いですし、デジタルを使ってストレスなく自然に来店を減らすことができるといいんじゃないかなと思います。

山本さん 昨今のトレンドを踏まえると、リアルとデジタルの組み合わせを考えるときにメタバースとどう向き合うかも論点になりますよね。メタバースそのものの成熟度は、まだVRの延長でヘッドセットを被ってワイワイやっている段階という感覚もあります。ただ、スマホの次のデバイスについて議論をすると、VRは必ず候補に挙がります。

まだ数年先になると思いますが、VRがもっと使いやすく携帯性に優れたデバイスとして普及したときに、何がどう変わるかは気にしています。銀行業はメタバース上でどうなっていくのかを考え始めるにはいい時期かもしれません。メタバースはまさにデジタルで構成された世界なので、デジタルバンクとの相性は非常に良いはずです。

遠藤さん メタバースでリアルを代替することはひとつの選択肢ですよね。メタバースで相談したり、コンサルティングを受けられたりすることが当たり前になったら面白いと思います。銀行に行く時間が減るわけですから、サービスの質が変わらないなら顧客にもメリットがあります。何でもメタバースとなると銀行側にも負担になりますから、質問シートの記入などの前捌き部分は自動化して、肝になるところだけは面談するといった組み合わせができるといいですね。

山本さん AIを組み合わせることで、自動化する部分にも人間味を持たせることができるかもしれません。一見すると人間が対応している風に見えるけど、実は裏ではプログラムが動いているという仕掛けです。

形式的なチェックは機械に任せて、重要な部分から人間が対応する。これを外見上はアバターにしておけば、機械が対応しているか人間が対応しているかはわかりません。以前、あるスタートアップの方から「電話は1対1でお互いの時間がすべて拘束される一方、チャットは1対Nで複数人を相手にできる」という話を聞きました。だから生産性の観点でもすごく有効だと。

AIを上手く使えば、顧客のアクションに対して提案や誘導といった働きかけをすることもできます。人間とAIを顧客が気づかないようにシームレスにハイブリッドすることで、生産性も上がるし、顧客満足度も上がる。こうした世界観が、メタバースと向き合う上での1つの手掛かりになるかもしれません。

── 法人向けビジネスとメタバースは、銀行の将来を考える上でキーワードになりそうですね。本日は対談を通じてデジタルバンクをめぐるトレンドへの理解を深めると同時に、これからの銀行の可能性についても考えることができました。ありがとうございました。
<プロフィール>

遠藤 正之 さん
静岡大学情報学部教授

専門は金融情報システム、FinTech(フィンテック)、情報システムのマネジメント。1983年早稲田大学政治経済学部卒業。同年三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行し、2015年9月まで32年半勤務。うちシステム部に約16年在籍し、第3次オンライン開発、東京三菱銀行システム統合、三菱東京UFJ銀行システム統合などの超大規模プロジェクトに、主に推進マネジメントの立場で参画した。2015年慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科後期博士課程修了、博士(システムデザイン・マネジメント学)。著書に『金融情報システムのリスクマネジメント』(日科技連出版社)、『金融DX、銀行は生き残れるのか』(光文社)がある。

山本 英生 さん
NTTデータ
金融イノベーション本部 ビジネスデザイン室 イノベーションリーダーシップ統括部長

慶應義塾大学商学部卒。1996年NTTデータ通信(現NTTデータ)入社。システム開発を経験した後、金融領域のITグランドデザイン策定や、量子コンピュータ、AI、RPA、データマネジメントなどの先進技術領域のコンサルティングや情報発信に従事。データ活用による金融サービスの高度化を指す「センシングファイナンス™」を提唱し、日本経済新聞社と金融庁が共催する「FIN/SUM」をはじめ、セミナー・講演の実績多数。

※本記事の内容は、執筆者および協力いただいた方が所属する会社・団体の意見を代表するものではありません。
※記事中の所属・役職名は取材当時のものです。
※感染防止対策を講じた上で取材を行っています。

新卒で都市銀行に入行し、個人向けコンサルティング業務に従事したのち、ネット専業銀行に転職。決済ビジネスを中心に、新規サービス企画や他企業との提携拡大、プロモーションなどを幅広く経験。その後、消費者嗜好や規制緩和などの環境変化を体感する中で、業界を超えたオープンな金融の仕組み作りに関心を抱き、NTTデータへ。
現在は金融業界のさらなるTransformationへ貢献すべく「金融を通じて世の中をより良くする」を志に、金融×デジタルを切り口としたトレンド調査や情報発信などに取り組む。CFP®・1級ファイナンシャルプランニング技能士として金融教育にも興味あり。

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