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銀行が広告を売る!?規制緩和がもたらす新領域【後編】

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前編では銀行の広告事業にまつわる規制緩和のトレンドを中心に情報をお届けしました。後編では広告事業とは何なのか?実際にビジネスとしてどうなのか?といった観点から、広告と銀行との関わりについて調べてみました。そこからは、「データ分析」や「マーケティング」といったキーワードとともに、地域社会において期待される銀行の姿が見えてきました。

広告事業ってそもそもなに?

前編で取り上げた規制緩和によって、銀行が広告を扱えるようになることは分かったけれど、そもそもこれまで取り組んでいなかった広告事業って一体何者なの?と思われている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、広告事業について、少し情報を集めてみました。

「広告」とひと口に言っても大きく2つの関わり方があります。それは「広告を出す(出稿)」と「広告を載せる(掲載)」です。発注者(広告主)となって広告を出す側ならば、これまでも多くの銀行が関わってきたのではないかと思います。例えば、春先に新生活応援キャンペーンのコマーシャルが流れたり、ボーナス時期に検索サイトに金利キャンペーンのバナーが表示されたりする、あれです。

一方で、広告を載せる側、については馴染みが薄いかもしれません。これまで限定列挙された業務に含まれていなかったので当然だと思います。広告の種類は多岐にわたりますが、銀行のウェブサイトにバナー掲載枠を作って取引先企業の商品を掲載する、といったイメージが分かりやすいシンプルな例かもしれません。

ちなみに、広告の基本分類としては、大括りで「マス広告」「インターネット広告」「セールスプロモーション広告」の3分類があると言われています。この3分類の中にもさらに無数の広告の種類があり、次々と新しい広告商品も開発されています。昨今はテレワークの増加に伴う音声アプリのリスナー増加により、デジタル音声広告が注目されるようなトレンドもあるのだとか。
広告種別の大分類 説明
マス広告 いわゆる4大マスメディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)を媒体にした広告。多数の利用者に幅広くアプローチすることが可能。
インターネット広告 インターネットのデジタル広告。サイトのバナー広告検索結果に連動する広告など。細かなターゲティングが可能な点が強み。
セールスプロモーション広告 上記以外の広告。電車・バスなどの交通広告、折り込みチラシ、イベント出展など。マス広告に比べ、比較的低価格なメニューが多いと言われる。

広告事業ってどうやるの?

それでは、広告事業にはどう取り組んでいけばよいのでしょうか。編集部も日々勉強中ですので、専門的な部分は今後プロの方々へのインタビューなどを通してあらためて発信したいと考えています。今回はあくまで一般論として情報収集してみました。

詳細は法律やコンプライアンスのプロに任せるとして、社内外の規約類整備などは最初に考慮することになるのではないでしょうか。利用者のパーソナルな情報を使ってセグメンテーション・ターゲティングなどをしていく場合は、特に配慮が必要かもしれません。

体制面では、広告メニューの開発者や掲載管理の担当者、販路を担う担当者などが必要になると考えられます。銀行ならば、法人営業の担当者が取引先に提案する選択肢もあるかもしれません。ですが、広告提案に際してはさまざまな独特の指標が登場し、馴染みのない方からすると、何のことだかさっぱり分からない、というものがたくさんあります。例えば、ごくごく一部ですが、インターネット広告だとこんな用語が出てきます。
用語 説明
PV(ページビュー) ウェブページの閲覧回数のこと。
imp(インプレッション) 広告が表示された総数のこと。
CTR(クリックスルーレート) 表示された広告がクリックされた割合のこと。
CV(コンバージョン) ウェブマーケティングにおける最終的な成果のこと。
また、提案に際しては、クライアントのプロモーション戦略策定支援や、複合的なプランニングスキルも求められるため、本格参入するのであれば、人財獲得や育成といった観点での検討も必要かもしれません。自社リソースを使わない選択肢としては、広告事業のプロである広告代理店への委託や協業といった選択肢も考えられると思います。

つい先日、4月20日には、三井住友フィナンシャルグループと電通グループが共同出資で広告事業の新会社を設立することが報じられました。積極的に参入を図る銀行と、広告事業に強みを持つ企業との連携事例は、今後も出てくるかもしれませんね。

広告ってビジネスとしてはどうなの?

では、広告はビジネスとしてどうなのか?が、次に気になることではないでしょうか。電通が公表している市場規模調査によると、2020年の国内総広告費は6兆1,594億円だそうです。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で前年を下回る水準となったようですが、その中でもインターネット広告費は成長を続け、2.2兆円規模に膨れ上がったということです。一般論的にはなりますが、これだけ見るととても大きな市場に感じられます。

【出典】電通『2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析』

もう少しミクロな視点だと、実際の広告掲載料を載せた媒体資料を開示している企業が多数ありますので、そういったところを参考にしてみると、何となくの相場が見えてくるかもしれません。

例えばコミュニケーションアプリのLINE。企業が提供するスタンプを使った経験がある方は多いと思いますが、LINEの広告媒体資料によると「スポンサードスタンプ」というメニューのプランはスタンプ8種で3,500万円(税別)となっています(2021年4月22日現在)。高いと感じるか、安いと感じるかは色々なご意見がありそうですが、調べていくと広告の料金はピンキリであることが分かると思います。

【参考】LINE広告媒体資料

広告は面積を売るビジネスだと表現されることがあります。物理的な看板広告だとイメージがつきやすいかもしれないですね。畳1畳分の広告パネルを1カ月占有するのに〇〇万円といった具合です。インターネットだとイメージが湧きにくいかもしれませんが、ページの表示回数が面積であり、在庫です。デジタルだと無限に存在するように感じてしまいますが、実際はその在庫を欲しい人たちが取り合うため、価格は需給で変動することもあります。

ですので、広告ビジネスの成否は、リアルであれデジタルであれ、みんなが欲しがるようなメニュー・在庫をしっかり用意できるかどうかがポイントになってくるのではないでしょうか。そのためには、先に挙げた楽天銀行のような、データ活用などによる広告の質向上のための工夫が重要になるのかもしれません。

銀行の広告事業に期待されていること

広告が儲かるのかどうか、といった話に触れましたが、今般のワーキング・グループの報告書に立ち戻ると、次のような検討趣旨が書かれています。

“高度化等会社がデジタル化に加え、地方創生など持続可能な社会の構築に貢献することを幅広く可能とすべく、法律に規定された業務の外縁をさらに拡充することが考えられる”

そして、対象業務には、広告と同列で「データ分析」「マーケティング」も記載されています。つまり、今般の話は単に広告ビジネスで利益を上げましょうということではなく、データ利活用の文脈で出てきた話であり、銀行が持っている情報をしっかりと生かして、地域産業の活性化に繋げていって欲しい、との意図が込められているものと受け止められるのではないでしょうか。

データ活用そのものではありませんが、昨年頃から、島根銀行や青森銀行がインターネット広告コンサルティング会社のローカルフォリオと提携するなど、地域の中小企業の販路拡大を支援する動きが出始めています。こういった取り組みが、今後ますます活発化していくのではないでしょうか。

【参考】島根銀行ニュースリリース
【参考】青森銀行ニュースリリース

NTTデータでも、データ利活用は積極的に取組んでいるテーマの1つです。編集部としては、今後広告ビジネスのプロなども巻き込みながら、金融領域での新しい価値創出に向けて有益な情報をお届けできるよう、頑張っていきたいと思います!
※本記事の内容には「Octo Knot」独自の見解が含まれており、執筆者および協力いただいた方が所属する会社・団体の意見を代表するものではありません。

新卒で都市銀行に入行し、個人向けコンサルティング業務に従事したのち、ネット専業銀行に転職。送金などの決済ビジネスを中心に、他企業とのアライアンス拡大や、新規サービス企画、プロモーションなどを幅広く経験。その後、消費者の変化や規制緩和といった環境変化を体感するなかで、業界を超えたオープンな金融の仕組み作りに関心を抱き、NTTデータへ。現在は、金融業界のさらなるTransformationへ貢献すべく、「金融を通じて世の中をより良くする」を志に、金融×デジタルを切り口とした技術・ビジネス動向の研究や、社内外への情報発信などに取り組んでいる。

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