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シリーズ「人材不足への処方箋!」~第1回 常識外れが人材流出を防ぐ

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優秀な人材を獲得したい経営者や人事部門の方は、常に採用や育成に悩んでいるでしょう。でもちょっと視点を変えると、人材確保しておく方法は他にもあるのです。
オクトノットでは「人材不足への処方箋」と題し、人材不足の解決に取り組むNTTデータ コンサルティング&マーケティング事業部の近藤さんに、人材に対する新しい考え方をシリーズでご提案いただきます。1回目のテーマは、「新しいことに挑戦するミッションを持ったチームは、個人のキャリア確認を促し、組織へのエンゲージメントを高める」ことに着目した人材流出を防ぐ秘策の実体験のお話です。チームに社内公募で異動された山本さんと近藤さんの会話に人材流出を防ぐヒントあり!目から鱗が落ちること間違いなしです。

人材不足への処方箋

-いま、どの業界でも、人材不足だ、人材不足だと言われていますが、人材領域を生業としているデジタルタレントチームではどのように考えていますか?

近藤さん 人材不足への処方箋は基本的に3つです。人材の採用、人材の育成、人材流出の抑止です。
 
山本さん 採用関連の施策は難しいです。なぜなら、新卒採用は会社としてのブランドが重要ですし、経験者採用では給与等の諸条件が重要になるので、短期的な対策が難しいことが多いです。
 
近藤さん ええ、ドラフトやフリーエージェントのニュースを見ていればわかりますね。

人材の育成については、デジタルタレントチームでは、社員の資質を見極めた育成プランを立てることを推奨し、当社内でも実施しておりますが、今回は人材流出の抑止について話をできればと思います。

-素人考えですが「人材流出の抑止」こそ、難しくないですか。退職率が高いと悩んでいる企業は多いと思うのですが?

近藤さん そんなことないです。退職を一括りにして考えるのではなく、やむを得ない退職と防がなければいけない退職の2つを分けて考えるべきです。
 
山本さん やむを得ない退職というのは、労働市場が活況で引く手あまたな状況のときに転職するケースですね。この場合では、転職すると圧倒的に条件が良くなるので完全に防ぐのは無理です。
 
近藤さん
 ええ、例えばAIの技術者とか、DXコンサルタントとかですね。引く手あまたで、キャリアアップのために転職しがちです。

私たちの実施した人材ポートフォリオ検討のコンサルティングの事例では、こういう人材の領域については、事業の中核でない限りは、外部調達する戦略を推奨しています。餅は餅屋で任せたほうが、費用対効果が高いです。
 
山本さん それに対して、防がなければならない退職は、現在の部署に対してのエンゲージメントが下がり、もうここにはいたくないという理由で退職してしまうケースです。
 
近藤さん 調べてみると、結構、多いんですよね。今いる部署に幻滅して、刹那的に退職しちゃうケースが。
お互いに不幸です。


-その所謂「防がなければならない退職」を防ぐことはできるのでしょうか?

近藤さん 防ぎ方は2つあります。1つはそういう人たちを社外に出さないため受け皿を作ること、もう1つはキャリアについてオープンに話合うことです。まずは、受け皿のほうから話をしますね。

象徴的な「特区」

-受け皿というと、具体的にはどういうものを指していますか?

近藤さん 会社の屋台骨を支えている既存事業とは別に、将来のために、新しいことにチャレンジする組織です。どの組織にも、チャレンジの要素はあると思いますが、象徴的に“新しいことに挑戦する”というミッションを持った常識外れの組織が必要です。
 
山本さん 私自身も、このままずっと今の仕事を続けていてよいのだろうかと、キャリアを悩んでいた時期があり、転職を考えたこともありました。その組織がイヤだったわけではないのですが、10年後の自分自身を描くことができなかったというか・・・

そんな折、当社には社内公募という制度もあったので、ポストを片っ端から検索してみました。100ぐらいのポストを熟読した気がします。笑


-その中で、デジタルタレントチームに公募で異動したわけですね。なぜデジタルタレントチームを選んだのですか?

山本さん チームが斬新な取り組みをしていたというのもありますが、それ以上に、チームで働いている人が楽しそうだし、この人たちと一緒に仕事をしたいと思えたからです。仕事の内容は状況によって、変化するかもしれないけど、働いている人たちとの人間関係は変わらないですから。
 
近藤さん デジタルタレントチームのキャッチコピーは、“NTTデータで最もNTTデータらしくないチーム”ですし、公募の際の募集要項に”優等生は要らない”と書いちゃうぐらいです。

あっ、山本さんは優等生でしたよ、もちろん。優等生は要らないというのは、行儀よく真面目である必要は全くない、という主旨です。

調子に乗って、現役のYouTuberの支援を受けて、チームのプロモーションビデオとか作っちゃうぐらいですから、本当にやりたい放題です。

-山本さんは、異質なところに異動して後悔はしていませんか?

山本さん 上司の前では、していないとしか言えませんよ・・・

実際に異動してみて、お客様に対してタレントに関連するコンサルティングを実施する傍らで、自分の興味のある取り組みをしています。大変なときもありますが、自分自身の成長のために楽しんでやっています。

近藤さん
 この前も婚活パーティーとか企画しましたよね。

山本さん
 はい。もともと、People Analytics(※)を使った人材の分析とか、マッチングとかに興味を持っていたのですが、マッチングがどんどんエスカレートして、労働組合と婚活最大手の株式会社IBJとコラボして、リアルのパーティーを企画しちゃいました。

たぶん、こんなチームは他にないんじゃないかな、と思っています。
 
近藤さん まあ、そうですね。

でも、実際には、私たち以外にも、別の意味で尖がった組織は私が知っているだけでも相当数あり、そういった組織が、キャリアに悩む受け皿になっているというのは事実です。

(※)人材データの収集、分析による組織課題を解決する手法

「特区」に行かないという選択肢

-「特区」を作ったら、既存組織から「特区」に人材が流出するから困るというような苦情は来ないんですか。

近藤さん 来ませんよ。

山本さん 苦情を言っても、取り合わないってわかっているからじゃないですか。

近藤さん いえいえ、実際、デジタルタレントチームでは、普段のやりとりのMicrosoft TEAMSを希望者に公開していて、現時点で100名弱の登録者がいますが、別に登録している社員全員が公募出すわけじゃないです。せいぜい、1年に数名程度です。

山本さん あまりにも、弾けているので、二の足を踏んでいるのかもしれません。

近藤さん まあ、それはあるかも。

そして、一定数、退職する人もいると思います。そのタイプの社員は少数ですし、どんな施策を打っても辞めるので、逆に辞めた後に良好な関係が築けるようにアルムナイネットワークを整備しはじめています。


-思ったより、公募を利用する人が少ない印象ですが。

近藤さん ええ。

大多数の社員は、こういう新しい組織のやり方を見て、自分が今いる組織のほうが、自分の性に合っていて、パフォーマンスも発揮できるということに気づきます。

山本さん 自律的なキャリア形成と、巷で言われている内容ですね。

近藤さん はい。そして、新しい組織で実践している取り組みのうち、活用できるものを取捨選択して、自分たちの組織に取り入れて、自分たち自身を変化させていきます。

山本さん 身近に、やっている人たちがいるのを知ると、ハードルが下がりますからね。

近藤さん そうです。

実は、象徴的な特区を作ることは、その特区がオープンなものでさえあれば、既存組織にも良い影響を与え続けられるんです。


-本日はどうもありがとうございました。

山本さん 「ありがとうございました。私たちと一緒に働きたい方を募集中ですよ♪」
 
近藤さん 「ありがとうございました。次回は、現場でできる退職防止策として、キャリアをオープンにすることによる社員への効果について語りたいと思っています。」

近藤 博一 さん
NTTデータ 法人C&M事業本部 法人コンサルティング&マーケティング事業部 部長
20世紀末、NTTデータ通信株式会社(現在の株式会社NTTデータ)に入社。2002年のコンサルティング部門発足当初より、一貫してコンサルティング業務に従事。2020年に法人ソリューション分野のスタッフに異動し、人材面での取り組みに課題が多いことに衝撃をうけて、デジタルタレントチームを立ち上げ、現在に至る。

山本 奈々佳 さん
NTTデータ 法人C&M事業本部 法人コンサルティング&マーケティング事業部 主任

NTTデータ入社後、金融分野にて、上流システムエンジニアとして活躍。デジタルタレントチームの活動に賛同し、社内公募制度により異動する。お客様向けにコンサルティングを実施する傍ら、自己研鑽の一環として、People Analyticsを使った各種サービスの企画に携わっている。
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執筆 オクトノット編集部

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