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シリーズ「人材不足への処方箋!」~第2回 キャリアをオープンにして人材流出を防ぐ

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転職することが当たり前になった今、社員の育成やキャリア形成についてお悩みの管理職・リーダーの方が多いと思います。どのようにしたら優秀な社員をつなぎとめておくことができるのか、適材適所のためには組織は何をしたらよいのか。その秘策の一つである「自律的なキャリア形成」についてご存じでしょうか。人気シリーズ「人材不足への処方箋」、第2回はキャリアをオープンにして話し合うことをテーマに、NTTデータ コンサルティング&マーケティング事業部の近藤さんと島野さんが、自組織の中でキャリア形成のために取り組まれた事例をご紹介します。キャリアをオープンにすれば、キャリアへの考え方も変わります!

自分でキャリアを決めるとエンゲージメントは高まる

-前回は、常識外れな特区が人材流出を防ぐというお話でしたが、評判はいかがでしたか?

近藤さん おかげさまで、面白かったというコメントが多く、概ね評判は良かったです。

島野さん 概ね?

近藤さん 常識外れなことを気軽にできる組織は少ないのだと思います。一部の方からは、「多くの組織はマジメにやっているんだ、お前らとは違うんだよ。」というようなお叱りを受けました。

近藤さん
 ということで、今回は、普通の組織で人材をつなぎとめるためにできることは何かについて、話をしたいと思います。島野さんは、何がポイントだと思いますか?

島野さん 端的に言うと、キャリアをオープンにするということがとても大切です。

近藤さん オープンにするというのは、会社や組織側が、成長のためのキャリアの選択肢を提示すると同時に、社員が自身の意向やスキル・才能を見極めて、自分で決めていくことですね。

島野さん そうです。最近流行(はや)りの自律的キャリア形成です。


-自分でキャリアを決めたら、次々と転職してしまいそうですが?

島野さん 調べるとわかるのですが、産業・組織心理学研究で特に有名な『キャリア自律が組織コミットメントに与える影響(堀内泰利 & 岡田昌毅 (2009))』の論文で言及されているように、社員がキャリアと向き合うことは、組織へのエンゲージメントを高める作用があるため、最終的には転職を抑止する効果につながるそうです。

近藤さん さすが、社会人大学院生として、研鑽(けんさん)しているのが垣間見えます。

島野さん 実際そうですよね。私たちのチームでも、普段から上司・部下間だけでなく、メンバー間でもタブーなくキャリアについて語り合っていますが、転職している社員は一人もいませんね。

近藤さん まあ、そんな調子に乗っていると、この記事が出る頃に辞めてしまう社員が続出するかもしれないので、おとなしくしていましょう(笑)

キャリアの選択肢の提示が令和の新しいスタイル

―キャリアの選択肢を提示するというのは、具体的にどのようなことでしょうか?

近藤さん 一言でいうと、上司が「社員のキャリアコンサルタントとして動く」ということです。

島野さん 部下の現在地をよく観察した上で、「今の延長線上でキャリアを積み重ねる場合」、「近いキャリアへと少し変化をつける場合」、「大きくキャリアチェンジする場合」というように、複数のオプションを提示したいですね。

近藤さん それは難しくないですか?

島野さん はい、かなり難しいと思います。ですから、NTTデータではキャリアカルテというものを用意して、本人と上司の両方に配布するトライアルを開始しています。

               図1:キャリアカルテのイメージ


―キャリアカルテとはどういうものですか?


島野さん 本人の志向(Will)と現時点での技量(Skill)と本人の資質(Talent)の3つを軸に各種診断しています。

近藤さん 例えば、自分自身が従事している専門領域について、技量がどの程度かを数値化します。もし、キャリアチェンジするなら、資質的にあなたに向いている専門領域はこちらですよと、示唆を与えてくれたりします。

島野さん 最終的には、このカルテだけで意思決定するのではなく、本人の意思を最大限に尊重しながら、上司と部下とでキャリア面談を行い、納得感のあるキャリアを選択していきます。

近藤さん こういうツールがないと、1on1(※)をやっても、将来のキャリアの話ではなくて、この調子で頑張れとか、根性出しなさいとか、このままではダメだといったようなよくある根性論や叱咤激励になりがちですよね。

(※) 1on1: 上司と部下が1対1で対話すること。現在では数多くの企業が導入している。

―キャリアチェンジの選択肢を提示することは、自分の下から部下が去ることになりそうで、勇気が要りませんか。


近藤さん 要りませんよ。何を恐れているのか意味がわかりません。

島野さん 逆に、そういう選択肢を提示しない方が、社員の信頼を失う気がします。

近藤さん どのようなことにも言えますが、情報を隠すことは良い結果につながりません。情報を占有して、他人をコントロールしようという昭和的なスタイルは完全に時代遅れて、今のSNS時代には全く適していません。実際、ほとんどの場合、情報は漏れ伝わっていますので、隠せていると思っているのは当人だけということが多いです。

さあ、じぶんに目覚めよう

―キャリアの選択肢が提示されても、本人の意識が低かったり、自己理解が進んでいなかったりしたら、思っているような効果が出ないのではないですか?

近藤さん 豚に真珠ですね。

島野さん どちらかと言うと、馬の耳に念仏のイメージです。

そうなりがちな状況があるので、まずはご自身の資質を理解していただくために、ProfileXT®(※HRD株式会社の製品)というアセスメントツールを利用しています。当社では、既に1,300名以上の社員が受検済みです。

―1,300名以上ですか?かなり多いですね。


近藤さん はい。1,300名分の属性もあるので、例えば、コンサルタントの適性傾向とか、退職した人の傾向とか、ストレスを与えやすい上司の傾向などの統計情報が蓄積されており、お客様が自社導入する際にも、比較対象として多種多様な統計データを提供できるため、大変喜ばれています。

話が横に逸れてしまいました。自己理解という観点ですと、アセスメントの結果を見て自分の特徴を理解し、より理解を深めるために、キャリアコンサルタント、まあ、ここにいる島野さんのことですが、によるフィードバックセッションも私たちは実施していますよね。

島野さん キャリアコンサルタントとして、フィードバックセッションを受けた人が、自分のキャリアを考えるようになってくださるとうれしいです。

近藤さん 島野さんは、「Bar♥Flat」という社内スナックも運営して、キャリアについて熱く語りあったりしていますよね。

島野さん ええ、リアルにこだわって開催しており、参加者の皆さんから喜ばれています。

―そのアセスメントツールは簡単に受けられるのですか。


島野さん ありがとうございます。当社はProfileXT®を取り扱っていますので、自分たちも受けてみたいとか、どういうアセスメントツールなのか興味があるという方はお気軽にご連絡ください。

近藤さん 結果の分析は、上司や人事部といった人材を活用する側にとっても役立ちます。組織や職務にどのようなタイプの人材が活躍できるのかを解析して人材ポートフォリオを作り、採用・配置・昇格などの意思決定に利用するプロジェクトもやっています。人材面で悩んでいる方は、是非!


―最後は、宣伝で締めくくっていただきました。

近藤さん いやぁ、これがお役目ですから・・・。

次回は、スペシャルゲストを招いて、これまで話してきた内容の実情について対談をさせていただこうと思っています。

島野さん お楽しみに~

近藤 博一 さん
NTTデータ 法人C&M事業本部 法人コンサルティング&マーケティング事業部 部長
20世紀末、NTTデータ通信株式会社(現在の株式会社NTTデータ)に入社。2002年のコンサルティング部門発足当初より、一貫してコンサルティング業務に従事。2020年に法人ソリューション分野のスタッフに異動し、人材面での取り組みに課題が多いことに衝撃をうけて、デジタルタレントチームを立ち上げ、現在に至る。

島野 敦子 さん
NTTデータ 法人C&M事業本部 法人コンサルティング&マーケティング事業部 課長代理
NTTデータ入社後、ネットワーク分野のシステムエンジニアや営業として活躍。社内公募制度により、デジタルタレントチームの活動に参画し、People Analyticsのセールスの責任者として活動する傍ら、キャリアコンサルタントの資格を持ち、社内スナックなどの斬新な企画で、社員のキャリアの悩みに答えている。
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執筆 オクトノット編集部

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