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【NFTとは】概要をわかりやすく解説
NFTの特徴や暗号資産との違いまで、具体的な内容を見ていきましょう。
ブロックチェーン上で取引される唯一無二のデータ
ブロックチェーンを使って取引される唯一無二のデータNFTとは、偽造不可能な鑑定書・所有証明書が付いているデジタルデータのことです。従来のデジタルデータはコピーや改ざんしやすく、現物資産と比べると価値をつけにくいものでした。ブロックチェーン上のデジタルデータは参加者の相互検証により成り立つので、改ざんや横取りなどの不正は困難です。ブロックチェーンの登場により、デジタルデータをオンライン上で正当性を確保して取引することが可能となり、この世に1つしかない1点ものの付加価値あるものとして、ネットで取引できるようになりました。
※ブロックチェーンとは、暗号技術によって正確に取引履歴を維持する技術
暗号資産との違い
暗号資産とNFTの何が違うかと言うと、代替えできるか、できないかです。
トークンは、大きく分けると以下の2つに分けられます。
トークンは、大きく分けると以下の2つに分けられます。
- FT(代替性トークン)
- NFT(非代替性トークン)
トークンは、直訳すると「しるし」や「象徴」のことです。 FT(代替性トークン)は、暗号資産が代表的で、所有者間が一度手放ししたとして代わりのものを適切な価値で市場から調達し代替えできます。一方NFT(非代替性トークン)で実装されたデジタルアートなどは一度手放したら、現在の所有者から入手するしかありません。こうした点でFTとNFTは異なります。
トークンの多くは、イーサリアム上で生成されます。イーサリアムとは契約書のような決まりごと(スマートコントラクト)により動く、分散型アプリケーションプラットフォームのひとつです。
【NFTとは】3つの特徴を紹介
NFTの特徴は「相互運用性・取引可能性・プログラマビリティ」の3つがあります。
相互運用性
多くのNFTは、発行された時点から複数のマーケットやウォレットで確認したり、利用したりできるようになります。なぜなら、NFTの規格は共通で定められているからです。規格が同じならば、他サービスでも利用可能です。例えばAというゲーム上のキャラクターを、Bという別のゲームに登場させるということも可能となります。
現状のNFTはブロックチェーンの規格としてイーサリアムのERC721というものを使っています。ただし技術的な面では、相互運用性は完全ではありません。ERC721が一般的な標準ということではないので、注意が必要です。
取引可能性
従来はデジタルデータを発行できる企業が最初に自らの管理で発行可能なデータを発行することができるという意味で中央集中型の管理形態でした。NFTの場合、オーナーシップがブロックチェーン上に記載されているので、自分で自由に移転できるようになります。改ざんやコピーができないので、美術品やプレミアム付きのアイテムなどNFTの持つ価値で取引することができます。国境に関係なくNFTは移動できるのです。
プログラマビリティ
NFTは一次流通だけでなく、二次流通でも作り手に報酬が入る仕組みを運用することできます。例えば、絵画を画廊から購入した人が、別の人に転売したとします。NFTのプログラマビリティ機能を使った設定で、転売があった際でも作り手に報酬が入るようにプログラムすることが可能です。この際著作権を管理する中間団体は不要です。
【NFTとは】革新的な魅力を紹介
従来では、デジタルデータはコピーや改ざんされてしまう可能性が高いため、資産価値を保つのが難しいものでした。しかし、非代替性トークンであるNFTに従来のデジタルデータにはないはさまざまな魅力があります。
自由な流通
従来のデジタルデータは、データアクセスを企業や事業者が制御していたため自由に流通しませんでした。NFTは物品のような唯一無二の性質を持ちながら、デジタルデータの利便性も兼ね備えています。オンラインでのデータ移動ができ、国境を越えて誰にでも平等に購入することができます。
所有権を持つ
NFTはブロックチェーンで管理されているため、確固たる所有権が証明できます。自身のウォレットの鍵でNFTを管理している限り、盗まれる可能性はきわめて低いです。ウォレットの鍵とは、金庫の暗証番号のようなもので決めた本人にしか分かりません。
偽造困難
例えばブランド品のバッグや財布は、本物なのか偽物なのか、素人では見破るのが難しいです。NFTの場合、発行されたときから、記録がすべてブロックチェーンで管理されています。1つしかないものだと記録されているので、偽造は困難です。その記録は多くの人がブロックチェーンの管理過程を共有し一緒に監視をしていることに近く、改ざんは難しく、セキュリティレベルも高いのです。
【NFTとは】現在活用されている業界は?
今までオンラインで取引ができなかったものを、取引可能にしたのがNFTです。そのため、さまざまな分野で活用されています。
ゲーム分野
NFTはゲーム分野において盛んに活用されています。キャラクターやアイテムにNFTが使用されています。自分が育てたキャラクターを、ゲーム内で売却することも可能です。希少価値があるキャラクターは高額で取引される可能性があります。ゲームの枠を超え、キャラクターやアイテムを売買することでゲームの幅を広げ楽しめることもできるでしょう。
アート分野
絵画やイラストや写真などのアート作品は、これまで物理的な現物取引が主流でした。NFTを活用することにより、デジタルのアート作品にも価値を持たせられるようになり、管理や売買が可能となったのです。取引事例の最高額は、デジタルアーティスト「Beeple」のクリプトアートです。「EVERYDAYS: THE FIRST 5000 DAYS」は6000万ドル以上の価値がつきました。
【NFTとは】今後期待される不動産・担保業界での活用方法
今後、NFTの活用が期待されているのは、不動産業界や担保の分野です。現状と今後期待できる部分を見ていきましょう。
不動産分野
不動産をNFT化することで、売買手続きを簡略化できる可能性が考えられます。例えばOpen Lowと呼ばれるブロックチェーンプロトコルでは、不動産売買に関わる契約書を、NFTを利用し交わす仕組みです。不動産売買に関する手続きを簡略化できるため、最近注目を集めています。ただし、まだできることは限られており、現在は不動産の所有権追跡と売買契約が可能です。今後、さらに発展が期待されています。
担保ローン分野
NFTを担保として資産を借り入れる方法もあります。例えばRocketというプロダクトではNFTを担保とし、仮想通貨を借り入れるシステムが構築されています。借り入れる仕組みは、まずユーザーが自身の保有するNFTをRocketに預けます。そうするとRocketが審査をして仮想通貨の借り入れが行われるのです。担保資産が一定基準を下回った場合、NFTマーケットプレイスで売却されます。
NFTの将来性に期待する未来
現在NFTは主にゲーム分野で活用されています。しかし、徐々に不動産や担保ローンといった生活に沿った分野でも注目されてきています。デジタル資産の唯一無二の価値化という分野では、期待が高まっている状態です。実用化レベルで浸透までには至っていませんが、実用の可能性は十分に期待できる分野です。今後の動向に注目していきたいですね。
※本記事の内容には「Octo Knot」独自の見解が含まれており、執筆者および協力いただいた方が所属する会社・団体の意見を代表するものではありません。