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コラム

どうする?人材採用 - 実録 “経験者採用強化 大作戦”

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新規事業やサービスを企画するときに必要なことって、いろいろありますよね。人材(人財)もそのひとつで、昨今はあらゆる業界で多様な人材が求められています。一方で、金融とかデジタルの世界って専門的で人の出入りが少ないイメージもありませんか?
実はそんなことはないんです。何を隠そう、編集部が所属するNTTデータの金融部門も経験者採用に力を入れており、さまざまな活動を行っています。今回はその中から「経験者採用大作戦」と題したワークショップに潜入取材を敢行!ワークショップの模様も交えながら「金融×デジタル」の領域で多様な人材が求められる背景などについて、少しライトにお届けします!

新規事業に多様な人材が必要なワケ

これまで、オクトノットでは複数回にわたって「新規事業」をテーマとした企画を扱っています。スタートアップ企業だけでなく、既存事業を持つ企業も含めて、さまざまな立場で新規事業に挑む方々にお話を伺ってきました。
新規事業は成功確率がとても低く、事業環境、ステークホルダーとの関係などが多様化するなかで、適切な方略をとることが重要です。既存事業を持つ企業内の新規事業では、これまで築き上げてきたアセットや顧客リレーションが大きな強みとなります。それらを上手く活用しながら新しい価値を生み出していくことが、新規事業を成功に導くアプローチとして有効だと言えます。そこでカギとなるのが「多様な人材」です。

IT企業が金融機関の融資業務を効率化する新サービスを考える場合を例に取るとどうでしょうか。IT企業の社員が金融機関の業務を勉強することはもちろん大切です。一方で「金融機関で融資業務に従事した経験のあるメンバー」の力を借りることも1つの手段になります。融資先企業の業務も含めた効率化を考えるなら「融資先企業で融資を申し込む業務に従事した経験のあるメンバー」をチームに入れることも効果的かもしれません。審査や稟議などを自動化するなら文章を分析するために「自然言語処理などのAIに詳しいメンバー」も欠かせません。

新規事業はスピード勝負です。短いスパンで試行錯誤を繰り返すことが求められます。そのためには、新規事業が対象とする業務や、利用する技術の経験者がチームの中にいることが大きな推進力として不可欠です。

金融業界と他業界の境界は曖昧になっている

では、金融領域での新規事業に着目してみるとどうでしょうか。

近年、組込型金融(Embedded Finance)が注目を集めています。組込型金融とは、私たちの仕事や趣味などの日常的な生活の中に“金融”が組み込まれ、意識せずに金融サービスを利用している状態を言います。レジを通らずにキャッシュレス決済ができる「ウォークスルー店舗」などもその一例です。こうした組込型金融を提供するうえでは、利用者の生活視点に寄り添ったサービスの設計が重要であり、そのためには小売業や交通・運輸業など、多様な業種の知見が有効です。
また、非金融業界の企業が金融事業に参入したり、強化したりする動きも活発です。ドイツの大手工作機械メーカーのシーメンスは2016年に製造業向けIoTプラットフォーム『MindSphere』をリリースしました。そこで収集されたデータは機械のメンテナンス時期の把握、稼働効率化などの本業だけでなく、新たなファイナンスサービスの開発にも活用されています。

具体的には、シーメンスは金融子会社を通じて取引先の企業に提供するローンサービスにデータを使っています。工場の生産性(IoTで管理された工作機械の稼働率)に応じて返済額を変更する仕組みを実現しており、企業にとってはリースなどに比べて柔軟な利益管理ができるようになると言われています。シーメンスにとっても、工作機械の稼働状況を把握しメンテナンスの時期を予測できるのは大きなメリットです。

ほかにも、異業種と金融サービスとの組み合わせる動きはさまざまな業種に広がっています。小売・流通業では、モノとお金の流れをセンサーで把握することで、在庫を担保とした融資なども考えられています。自動車製造業では、自動車の走行距離や運転操作などのデータを車載のIoTで収集・分析して、事故発生リスクに応じた保険金額を設定するサービスも登場しています。

多くのデータを収集して金融サービスと組み合わせることができるようなったことも、非金融業による金融事業への参入を加速させています。金融領域の新規事業におけるさまざまな業種の知識や経験の必要性を高める要因となっているのです。

小売・流通では、扱う商品の需給や商習慣についてのノウハウがあってはじめて、事業者の柔軟な利益管理に貢献する金融サービスを提供することができます。自動車の利用状況に応じた保険商品の開発においても同様で、自動車から読み取ったデータを事故の発生確率などに結び付けるためには自動車に関する知見が欠かせません。

顧客の生活理解を起点とした組込型金融と、データ活用による非金融業と金融サービスの高度化という大きなトレンド。これらによって、金融領域でも多種多様な経験を持った人材が一層求められるようになってきているのです。

実践!経験者採用大作戦!

と、ここまでは少し真面目に書いてきましたが・・・言わずもがな、新たなビジネスを生み出すためには、多種多様な経験を持つ人材の獲得が欠かせないものとなってきているのは紛れもない事実。

「でも、人材獲得もそう簡単ではないよね・・・」

そんなお悩みを抱えている人事担当の方、新規事業企画の現場の方も多いのではないでしょうか。

何を隠そう、私たちNTTデータも一緒です。かつては新卒入社からの生え抜き社員ばかりで構成されていた当社の金融部門。「金融×デジタル」で金融の未来を創っていく企業として、多採な人材が必要なのは前述のとおり。採用の仕組み、選考の方法、応募者のフォローなどなど、改善の余地はたくさんあるはず。いや、ここではあえて「のびしろ」と言わせていただきましょう!

そこで・・・その「のびしろ」を伸ばすべく、新進気鋭な人事担当が都内某所で「経験者採用大作戦ワークショップ」と題したイベントを開催しました。

オクトノット編集部のミッションは金融の未来を創るために日々挑戦している読者の方々に役立つ情報を届けること。皆さんに何か少しでも気づきをお届けできたらと思い、ワークショップへの潜入取材を決行!その模様をちょっとだけご紹介します。

ワークショップの目的は「経験者採用の課題確認と探索および、施策アイディアを創出すること」と設定されました。経験者採用の改善策だけなら人事担当だけで思いつきます。そうではなく、採用数増に向けて課題が何かをあらためて洗い出し、新たな施策アイディアも出すのです。

当日は人事担当と面接官、転職で入社した社員が一緒になって、新規事業創発などでも活用されるアイディエーション手法を取り入れながら、熱い議論を交わしました。

KPT法、GAP分析、ブレインライティング、アイディアスケッチといった手法を交えて、社内のファシリテーションのプロフェッショナルにリードしてもらいながら、経験者採用で入社した社員の体験共有や、参加者全員での課題探索などに取り組みました。

ワークショップディレクターとして、社内外のワークショップを多数実施するNTTデータの角谷恭一さん

【参考】“発想力”で変化の時代を生き抜こう

お堅いイメージを吹き飛ばせ!

アイディア発散の時間では「金融業界は真面目だから・・・」とか「そんなのできるわけない」といった固定概念を取っ払った奇抜なアイディアもたくさん出ました。

それを否定せずに検討するのは、楽しくもありますが簡単ではありません。限られた時間でもなんとかアイディアを形にしようと、一同汗をかきながら取り組みました。

所属部署や役職、経歴などの枠を超えて意見を出し合う参加者たち

採用の入り口だけでなく、組織風土に対してどうしていくか。採用した後のフォローをどうしていくかといった視点からも、さまざまなアイディアが生まれました。アイディアは、実際に人事担当が持って帰り、施策として実現を検討することになっています。

多くの企業が業界を超えて人材確保に乗り出すなか、自社に優秀な人材を呼び込むことは簡単ではありませんよね・・・。まずは、採用活動に携わるメンバーや、実際に経験者採用で入社した社員などが一緒になって意見を交わし、自社の課題を見つめ直すところから始めてみるのも有効なのかもしれません。

メンバーが集まって課題発見とアイディア出しをする場面においては、次のようなワークショップ進行上の工夫が、効果的に意見を引き出すポイントになっていたのではないかと感じました。

・人事担当だけでなく、経験者採用の社員も含めた多種多様な当事者を巻き込んだ
・立場を超えて同じ目線で意見を出し合える手法やファシリテーションを盛り込んだ
・参加者全員が「これはできない」という制約を取り払って考えるマインドを持てた

会議やセミナーなどの内容を、イラストやキーワードで体系的に「見える化」して共有することで参加者の理解や思考を深める「グラフィックレコーディング」と呼ばれる手法も活用

導き出されたアイディアは(非常に生々しいものもあるので笑)、ここでは詳細を割愛しますが、世の中に伝えていきたいメッセージとしては「意外性」や「ワクワク」がひとつのキーワードになっていました。

NTTデータの金融部門には、長きにわたって日本の堅牢な金融インフラを支えてきました。そういった歴史や事業特性から、“保守的” “お堅い”といったイメージを連想されることが多いのも事実…。でも、実は“先進的”で“柔軟な”部分もたくさんある。築き上げてきた伝統や信頼は大切にしながら、誤解はきちんと解いていきたい、そうした声が多く挙がりました。

「保守的だと思っていたけど、こんな人もいるんだ」と皆さんがびっくりするような働き方とか、「金融って意外と楽しそう」と感じるような、金融×デジタルの可能性やワクワク感をしっかり伝えていこうと。これってまさにオクトノットがめざしていることでもあります!

採用において、制度・方法はもとより、金融の世界のイメージを変えていくことも大切なのかもしれません。このような課題感を抱いているのはNTTデータの金融部門だけではないはず…。金融機関をはじめ、スタートアップ、異業種企業の方々も含めて、金融の可能性・ワクワクするような未来を世の中に発信していきたい方がいらっしゃいましたら、ぜひオクトノットとコラボしましょう!

あ・・・もちろん、NTTデータの経験者採用へのご応募も、首を長くしてお待ちしていますよ!!

※本記事の内容は、執筆者および協力いただいた方が所属する会社・団体の意見を代表するものではありません。
※記事中の所属・役職名は取材当時のものです。
※感染防止対策を講じた上で取材を行っています。

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執筆 オクトノット編集部

NTTデータの金融DXを考えるチームが、未来の金融を描く方々の想いや新規事業の企画に役立つ情報を発信。「金融が変われば、社会も変わる!」を合言葉に、金融サービスに携わるすべての人と共創する「リアルなメディア」を目指して、日々奮闘中です。

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